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保育士の退職届、正しい書き方は?退職届と退職願って何が違うの?

読了の目安:約7分
保育士の退職届
保育士の中には、労働環境が整備されていない職場や人間関係、キャリアを考えて退職を決意する方が一定数います。今回は、退職を決意した際に保育園に提出する退職届についてまとめました。
日本は保育士不足なので、退職を決意しても引き止められることがあり、スムーズに退職できないこともあります。そうした場合の対応についても紹介します。
保育士として転職活動を始める前に、正しい退職の手続きについて理解しておくとスムーズに次の職場を探せるでしょう。
円満に退職し、よりよい求人を探すためにも、正しいマナーに則った方法で、職場に対してできる限り誠実に対応するようにしましょう。

今回のポイント

キノシタ社会保険労務士事務所
https://www.kisoku.jp/jouhou/taisyoku2.html

厚生労働省大阪労働局
https://goo.gl/qzsWqj

そもそも、退職届ってどういうもの?退職願との違いは?

会社を辞めるときに提出する必要がある退職届ですが、実際にはどういう意味合いを持つ書類なのでしょうか。ここでは退職届の法的な効力、退職願や辞表との違いなどについて解説します。

退職届とは

退職届とは、職場を辞めることを決意した際に、その退職の意思を会社に伝達するための書類です。
退職届で退職の意思表示を行うと退職が認められることが、民法で定められています。

一般的に、就業規則に退職届を提出してから実際に退職できるまでの期間が定められていることがほとんどです。
職場によっては指定の用紙がある場合や退職届の提出先を定めている場合もあるので、円満退職のためにも就業規則を事前に調べてから書類を作成するようにしましょう。

退職届を出したとしても、職場の状況などを考えると本当にやめることができるのかどうか不安になるかもしれません。

しかし、無期雇用の保育士さんの場合は、民法第627条の「期間の定めのない雇用契約については、雇用契約の解約申し入れ後2週間で終了する」という内容が適用されるので、万が一退職について会社からの同意が得られなかった場合でも仕事を辞めることができます。
また、退職届に記載されている日付が退職日になるため、社会保険や雇用保険、厚生年金などもその日付までしか加入できない点には注意が必要です。

退職届・退職願・辞表の違いは?

退職の意思を示す書類には退職届と退職願、辞表があります。意味合いは似ていますが、実際は書類によって用途が違います。職場に提出をする際には使用方法を間違えないように気をつけましょう。

退職届

退職届は退職することを決めたあとに、自分が辞める旨を届けるための書類です。退職届は提出した時点で労働者と雇用主の関係性に影響し、退職が決定します。提出後に取り下げることはできません。

退職願

退職願は、職場に退職を願い出るための書類です。退職届とは異なり、提出してもすぐに雇用契約が解除されるわけではなく、退職願が受理されることで退職が決定します。
円満退職をしたい場合は、早めに職場に辞めたいという意思を伝え、退職届を提出する前に退職願を出すとよいとされています。
ただし、引き止められることなく辞めたいという場合は、退職届を提出する方が確実です。

辞表

退職届と似た意味を持つ辞表は、会社の役員や公務員が仕事を辞める際に提出する書類を指します。公立の施設に勤めている保育士さんの場合は辞表を作成しますが、民間の保育士さんは退職願や退職届で辞意を伝えます。

受理されてから退職が決まる退職願よりも、提出した時点で退職が決定する退職届の方が効力が強いです。基本的には辞表を提出することはないので、状況に合わせて退職願や退職届を提出するようにしましょう。

保育士さん向け!退職届・退職願の正しい書き方を解説

一般企業では退職届や退職願書式が定められている場合がほとんどです。しかし、保育園の中には書式が定められていない職場もあります。そこで、ここでは退職を決意した際に使える一般的な退職届の書き方をご紹介します。

保育士の転職に役立つ!退職届の正しい書き方

規則が多そうに感じる退職届の書き方ですが、ポイントを抑えればそれほど難しくはありません。白無地の用紙に以下の項目を記載していきましょう。

①表題…1行目の中心にくるように「退職届」もしくは「退職願」と記載します。

②私事…次の行の下部に、書き出しの言葉を入れます。私事(しじ)は、個人的なことという意味で、会社都合ではなく自己都合で退職する際に記載します。私儀(しぎ)と書く場合もあります。

③退職理由…どのような理由であっても必ず「一身上の都合により」と記載します。自己都合で退職する場合は、明確な退職理由を説明する必要はありません。

④退職日…退職日は退職希望日を記載します。職場の就業規則に従って、提出日から退職日までの日数に気をつけて書きましょう。
たとえば「退職を希望する際は2ヶ月前に意思を伝える」と定められている場合、退職日の日付と提出日は2ヶ月以上空いていなければなりません。
次の仕事がすでに決まっている場合、退職日が次の就職日と重ならないようにします。実際の文面では「一身上の都合により、勝手ながら、平成〇年〇月〇日をもって退職致します」というように記載するとよいでしょう。

⑤所属部署・氏名…特に所属部署などがない場合は、氏名のみ行の下部に記載します。公的な書類なので、名前の下にはシャチハタではなく朱肉を使う判子を押印しましょう。

⑥法人名・保育園名・園長先生の氏名…文章の最後には「社会福祉法人〇〇会 〇〇保育園 園長 〇〇 〇〇 様」などと正式名称で記載しましょう。

作成は手書きとパソコン、どちらがいいの?

退職願や退職届の作成は、手書きとパソコンどちらでも構いません。法律では、退職の意思を伝える書類に対して書式を定めていません。ただし、パソコンで作成する場合でも印鑑は必要になるので注意が必要です。また、署名欄と捺印欄を空白にして作成し、手書きで署名すると自身で作成した証明になるのでおすすめです。

手書きで退職届を記載する場合は、黒のボールペンや万年筆など、文字がかすれない筆記用具で記載します。ボールペンの場合、消せるタイプのボールペンは使わないようにしましょう。

退職届を入れる封筒にはどんなものを使えばいいの?

退職届の作成が終わったら、封筒に入れて提出できるようにしておきましょう。無地の白い封筒を使用し、茶封筒や郵便番号の枠が印刷されているものは使わないようにしましょう。

封筒の表の中央に「退職届」または「退職願」と記載し、裏の左下に所属部署と氏名を縦書きで記載します。職場の状況によっては担当者がすぐに封筒を確認できない場合もあるので、提出日を記載しておくと安心です。また、文字がかすれたり消えたりするのを防ぐため、封筒に記載する際も油性のボールペンを使用するようにしましょう。

退職届はシワや折り目がつかないように気をつけながら、文章が内側にくるよう三つ折りにして封筒に入れます。三つ折りは下側を先に折り、上側を被せるようにしましょう。折った用紙の左側から封筒に入れるのがマナーとされています。

退職届の提出先や提出時期は?いつ、誰に渡せばいいの?

一般企業の場合、退職届の提出先は職場の運営責任者か人事であることがほとんどです。
しかし、保育園の場合は人事部自体がなく、勤務している保育園から運営本部が遠いというケースが多いため、基本的には働いている園の園長先生に退職届を提出すれば問題ありません。

就業規則で提出先が運営本部など指定されている場合はそちらに従います。また、より円満に退職するのであれば、いきなり園長先生に退職届を提出するのではなく、まずは自分が退職したいと考えていることを伝えるとよいでしょう。
その際に、退職のお伺いの意味を込めて「退職願」を提出しても問題ありません。

退職届を提出するのに向いている時期は、保育園によって採用時期や繁忙期、規則などの状況や条件が異なるため、一概には言えません。
就業規則に定められている要件を守れば問題はないでしょう。円満退職を目指すのであれば、保育園が自分の代わりの保育士さんを探す期間と園児の入れ替わりの時期を考えて、年度末の3ヶ月位前に退職届を提出するとよいとされています。

それ以外では、採用が決まると必ず「いつから来れる?」と聞かれますので、採用が決まった段階で職場に伝えるようにしましょう。この場合は職場の状況と就業規則を踏まえて、退職時期を決定します。

保育園では新年度の4月からクラス担任などの新体制を整えるため、さらに配慮するのであれば、保育士さんの採用を行う夏から秋頃に退職の意思を伝えるとよいでしょう。
新しい保育士さんが無事採用された場合は、丁寧に仕事の引継ぎを行ってから退職できます。職場への負担を最小限に抑えられるので円満に退職できる可能性が高まります。

ただし、就業予定の保育施設から「半年は待てない」と言われるケースもあるので、現在の職場に対して配慮ができない場合もあります。就業規則を守る必要はありますが、必ずしも円満退職ができるとは限りません。

 退職届を提出したのに引き止めにあった!退職できないとき、どうすればいい?

現在の日本では保育士不足に頭を悩ませている保育園が多いため、退職届を提出したとしても退職を引き止められるケースがほとんどです。
退職願は受理されない限り効力がありませんが、退職届には法的効力があるため、引き止められたとしても退職届を提出した時点で退職が決定します。

ただし、就業規則で定められている日までに提出しておく必要があるので注意が必要です。引き止められたとしてもはっきりと退職する意思を伝え、冷静に対応するようにしましょう。

また、退職の理由を聞かれた場合は、給料や残業時間、休日など、待遇面の問題はデリケートなので伝えることは控えます。できれば「新しい職場が決まっている」「勉強に打ち込んでキャリアアップを目指したい」などポジティブな理由を伝えるようにしましょう。体調不良や結婚、妊娠などのやむを得ない理由であれば正直に伝えても問題ありません。

常識の範囲内での引き止めは仕方ありませんが、保育園の中には退職届を受け取らないなど悪質な方法で引き止めを試みるところもあります。
このような場合は「内容証明郵便」のように保育園側が受け取った記録が公的に残る方法で退職届を提出しましょう。内容証明郵便は、郵便局の窓口から送付できます。

対応に手間取ってしまい、就業規則に定められた日よりも後に送付することになるかもしれませんが、退職希望日の2週間前に提出していれば希望通りに退職することができます。

こうした強制力のある方法で退職届を提出した場合、円満に退職することはできないかもしれません。
しかし、次の職場が決まっているなどの場合は毅然とした対応を取ることも大切です。雇用関係に関しては労働者側の事情が優先されることが多く、退職もそうした権利の一つです。
そのため、法律に則って作成した退職届を提出していれば、希望した期日に職場を退職することができます。

おわりに

体調不良や家庭の事情、ステップアップなど、さまざまな理由で退職を決意することがあると思います。
しかし、人手不足が深刻な保育業界では引き止められるケースがほとんどです。後ろ髪を引かれるかもしれませんが、法的拘束力のある退職届を提出して、退職する旨をしっかりと伝えるようにしてください。

また、退職届を提出する前に園長先生に相談したり、退職願でお伺いをたてたりすることで職場への影響を最小限に抑えることができます。状況に合った対応を心がけ、円満退職を目指しましょう。

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