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日本の保育業界に革命!?厚労省が検討するラヒホイタヤとは?

ラヒホイタヤ
日本の保育士不足や介護士問題の解決策として、フィンランドの制度が取り入れられようとしています。それは一体、どのような物でしょうか。

今、高齢者人口の増加に伴い、高齢者介護を担う人材の確保が求められています。同時に待機児童問題も一向に解決の兆しが見えていません。それらの問題の解決策として、保育士と介護士の資格統合する「ラヒホイタヤ」という案が出され、話題を呼んでいるのを知っていますか?

保育ぷらすでは、保育士資格または幼稚園教諭免許状のどちらかを持っている人は、短期間で負担が少なくもう片方の資格・免許を取得できる「保育士特例制度」をご紹介しましたが今回はこの資格統合案「ラヒホイタヤ」について理解を深めていきましょう。

[参考記事]

実はあなたも対象者!?厚生労働省が発表した、話題の「保育士特例制度」とは?

ラヒホイタヤとは?

ラヒホイタヤとは、保育士、准看護婦、歯科助手、救急救命士などの保健医療部門における7つの資格と、ホームヘルパーや知的障害福祉士などの社会ケア部門における3つの資格を統合した、フィンランドの社会・保健医療共通基礎資格のことです。つまり、保健医療分野と社会サービス分野の日常ケアに関する、10個の資格を1つにまとめたものです。

≪フィンランドは世界的な福祉先進国!≫

フィンランドは、北欧型の社会保障・社会福祉システムを持つ福祉先進国で、2025年にはフィンランドの高齢化率は、EU圏内で最も高くなると試算されています。ラヒホイタヤが生まれた背景としては、少子高齢化で人材不足が懸念される福祉人材確保を目的とし合理的なマンパワーの配置を行うために生まれました。

≪フィンランドは学歴社会ではなく資格社会!≫

フィンランドでは教育は就学前から大学院に至るまで無償なのをご存知でしょうか?義務教育を終えた子供たちはほとんどが高等学校か職業学校に進学しますが、教育機会は年齢に関わらず平等に与えられています。後期中等教育 (普通高校や職業学校) では、教科書は自己負担があるものの給食は無料になっています。

しかし、教育の機会を充実させる一方でフィンランドは学歴よりは資格を重視されることが多く、就職した場合でもより上級の資格を得るために、労働市場と相互に行き来ができるように組み立てられている「生涯学習社会」なのです。

なぜ日本はラヒホイタヤを参考にしているのか?

日本は世界で最も高齢者の割合が多い国です。長寿国のため高齢者が増えていく一方で、少子化問題や若者の正規雇用の割合が下がり、働き手は減るばかりです。同時に保育士不足により待機児童問題も叫ばれています。そのような状態で早急に対応が必要となり、ヨーロッパでも福祉先進国であるフィンランドのラヒホイタヤの仕組みを日本に導入しようという動きになっているのです。

≪2025年に待ち受ける恐ろしい人材不足問題≫

2025年には、何が待っているのかというと戦後最大のベビーブームの申し子たち、いわゆる『団塊世代』の方々が75歳となり、本格的に介護が必要になってきます。そうなると介護に必要な人材が概算で約33万人が足りないと言われています。また、現在でも保育に携わる人材も約7万人が不足している状態。この恐ろしい問題を解決するためにラヒホイタヤの導入案が日本で持ち上がったのです。

≪ラヒホイタヤを日本で導入する最大のメリット≫

ラヒホイタヤを導入することで、保育や介護に携わる人材を1つの資格にまとめ、その資格さえあれば保育士としても介護士としても働けるようにします。保育のための人材を育てて、待機児童問題が改善され、保育士不足が落ち着いたら、そのまま介護の方へ人材をシフトしようということなのです。つまり、ラヒホイタヤ導入によって、保育士不足も介護士不足も同時に解決しようとしているのです。

ラヒホイタヤ資格保有者のメリットとデメリット

タヒホイタヤ

≪メリット≫

もし日本でラヒホイタヤが導入され、この資格を取得した人のメリットとして考えられることは、一人で子育てから介護サービスまで提供できることで過疎化が進む地方の人手不足問題に貢献できる点です。さらに、資格取得のために幅広い知識を得ることで多角的な視点から業務にあたることができます。加えて子育てから介護まで幅広い分野で働くことができ、求人も多いため、生涯仕事を続けられる可能性も高まるでしょう。

≪デメリット≫

一方、デメリットは専門性の希薄化、資格取得や業務の負担が増えることが考えられます。例えば、介護福祉士の場合、一定の実務経験を得て国家試験に合格する、あるいは専門学校を卒業しなければ資格を取得することはできません。こうした一定の知識や実務経験が必要な上、さらに別分野の知識や実務経験を問われるようになっては資格取得のハードルが高くなるうえ、人手不足の解消になるどころか、資格取得希望者が減ってしまう可能性もあります。また、働く人にとって業務負担が増えるにもかかわらず待遇が今と変わらないのでは、働く場所が増えたとしても長く働くのは難しくなります。金銭面だけではなく肉体的、精神的な疲労度に対する配慮も十分に検討される必要があるでしょう。

 今後は増えていく!?「幼老統合ケア施設」とは?

日本の各地で徐々に増えているのが「幼老統合ケア施設」です。年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが一緒に身近な地域でデイサービスを受けられるのが特徴です。高齢者、障害者、子供などに対して、各々の生活リズムに合わせて柔軟なサービスを行っており、今後はこのような施設が増えていくことが予想されています。そうなった場合にはラヒホイタヤの資格を持っていれば施設のどの部署でも働くことができ、ニーズが高まっていくでしょう。

≪高齢者と子供が一緒に過ごすことで得られる効果≫

幼老統合ケアのような施設では、高齢者と子供が一緒に過ごすことになります。最近では祖父母と孫が一緒に暮らすことが少なくなっていますが、このような施設で祖父母以外の高齢者と子供たちが一緒に時間を過ごすことになります。そうすると、高齢者にとっては賑やかで話し相手が増えますし、子供たちも昔話など、普段は聞けない話を聞くことができます。また、子供のお母さん世代にもよい影響をもたらすのです。忙しくてカリカリしていたお母さんたちが、おとしよりがゆったりと子どもの世話をするのをみて自らの態度を省みるという影響も出ているそうです。高齢者と子供を一緒にケアすることで、意外なところまで良い影響が出るのは素晴らしいことですよね。

日本版ラヒホイタヤの導入見送り

厚生労働省が2015年6月に「保育士と介護福祉士、いずれかの資格取得者には他方の資格の試験科目を一部免除したり、福祉分野全般の基礎研修の在り方を見直したりすることを想定」と発表しました。つまり、10この資格の統合を検討したものの、福祉の現場関係者からのヒアリングをした結果、統合は難しいと断念し、結局は保育士と介護福祉士は双方の資格を取りやすくする検討がされる事になりました。

まとめ

フィンランドの保育や介護に対する考え方は日本とは違い、非常に国民にとって保証されているものです。ラヒホイタヤのモデルをそのまま移行するわけにも行かないため、一旦日本では導入が見送られることになりましたが、2025年を迎えるにあたって日本は早急に施策を立て、実行していく状況に迫られています。保育に関わる方々はニーズに柔軟に対応できるよう備え、今後の世界と日本の流れに対応していかなければならないでしょう。

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