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4歳から義務教育!陽気なだけじゃない、ブラジルの幼児教育事情

ブラジルの保育
日本とは地球の反対側に位置する、南国ブラジル。サンバなどの文化が有名で、なんとなく陽気なイメージがありますよね。
ですが、ブラジルでの保育や教育と言うと、意外と想像しづらいのではないでしょうか?そこで今回は、ブラジルの幼児教育事情について詳しくご紹介していきます。

実は世界7位の経済大国!日本とも縁が深いブラジル

ブラジルというと、サッカーやサンバが有名な陽気な国というイメージですよね。
ですが、実はブラジルは世界7位の経済大国なんです!

ブラジルはBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)の加入国として、航空機産業などハイテク産業が発展している工業大国という側面と、世界最大の農業大国というふたつの側面を持っています。

日本とは地球の反対側にあるブラジルですが、1895年に外交関係を築いてから、ウジミナス製鉄所やアマゾンのアルミプロジェクトなどといった国家的なプロジェクトをはじめとして、農業やインフラの整備でさまざまな経済協力を行い、友好的な関係を築いています。
また、日本からだけではなく、アフリカやポルトガル・イタリア・中東などから多くの移民を受け入れ、いわゆる“人種のるつぼ”として多彩な文化が共存しており、政治家や裁判官・弁護士として多くの日系人も活躍しています。

4・5歳児も義務教育の対象!ブラジルの教育制度について

ブラジルの教育制度は、6歳から14歳の初等学校・15歳から17歳・18歳の後期中等教育機関・18歳からの高等教育から成る9・3・4制の学校制度となっています。
また、6歳未満の就学前の教育は、0歳から3歳を対象とした保育園(Creche)と、4歳から6歳を対象とした幼稚園(Pre-escola)に分けられています。

◆幼児教育の普及は国の義務!4歳・5歳児も義務教育の対象に

1988年に、幼児教育の普及が国の義務であると憲法で定められ、2006年からは初等教育の就学年齢が6歳に引き下げられたブラジル。これに伴って、幼児教育の対象年齢が0歳から5歳となり、2009年には、4歳・5歳の幼児も義務教育の対象と定められました。

また、2001年に公布された「国家教育計画(PNE)」において、生涯にわたる人格形成の重要な時期である幼児期に、幼児教育がきわめて重要であると定義され、「教育環境の整備」や「教員の資質向上」など、幼児教育を取り巻く状況の改善が進められています。その後、2010年には4・5歳児の就園率は80%にまで向上しています。

日本とはこんなに違う!ブラジルの保育制度や文化について

ブラジルの保育・幼児教育

ブラジルでは幼児教育の重要性が国全体に認知され、保育に対しての関心が非常に高まっています。
そんなブラジルの、日本とは違う保育や幼児教育にまつわる制度について、文化の違いなども含めて解説していきます。

公立保育園・幼稚園は無料!

ブラジルには、公立と私立の保育施設があります。公立の保育園・幼稚園は無料で利用可能で、中流~上流階級では、よりよい環境でよりよい教育を受けるために、私立保育園・幼稚園を利用する家庭が多くなっています。

公立の保育施設を利用している家庭も多くありますが、教師や施設の数が不足しているため、入園を希望する場合、長期間の待機が必要となっています。日本と同じく、待機児童問題が課題となっているんですね。

また、公立の保育施設に入園できた後も、年間欠席日数が20日以上となった場合、通園資格を失ってしまうことも。ただし、予防接種や診察等で欠席する場合は、病院から証明書を発行してもらうことで、欠席日数から除外してもらうことができます。
この証明書は遅刻する場合にも必要となりますが、もし提示できなかった場合は欠席扱いとなってしまう点が、日本の幼稚園・保育園との違いとなっています。

ストライキで突然休みになることも…

日本の幼稚園・保育園はカレンダー通りに運営され、急な休みはないのが当たり前ですよね。ですが、ブラジルの場合、突然お休みになる事もあるんです。

例えば、木曜日が祝日の場合。日本では金曜日は学校があるのが当たり前ですが、ブラジルは金曜日を休みにして連休となる事が多くあります。ここで困るのが、学校が休みになっても企業は休みにならないということ。
そのため、共働きの家庭の場合、金曜日の休みに子どもを預かってもらえるベビーシッター等を探すことが必要となります。

さらに、なんと公共交通機関や教育機関などが、突然ストライキを起こすことも……
ストライキは1日だけで終わらず数日にわたることもあり、決起の前日になって初めてストライキの実施がわかる場合も多いため、子どもを預けている家庭では、子どもの預け先で困ることがあります。

保育園・幼稚園でストライキが起きた場合は、責任者はいても先生の数が少ないため、なるべく登園を控えるようにという通達がなされます。そのため、園でストライキが起きた場合、多くの親は子どもを登園させず、休ませるようにしているようです。

 

 

ベビーシッター制度が社会に浸透

前述したストライキによる急な休園や公立園への待機中、頼りになるのがベビーシッター制度です。

ブラジルでは、若い方から高齢の方まで、さまざまな人がベビーシッターとして働いていて、代々ベビーシッター業を営む家庭もあるほど、家庭での保育やベビーシッターを活用する文化が浸透しています。

費用は日本円にすると1時間当たり600円から900円。育児はもちろん、家事や料理もしてもらうことができるので、利用している家庭は多いようです。
また、都市部では幼稚園・保育園の数が不足していますが、ベビーシッターに預けて仕事に復帰する女性も多く、育児休暇の期間が4カ月と短い場合が多いようです。

私立の幼稚園・保育園は2部制や3部制で運営

日本では、幼稚園は10時から14時、保育園は7時半から18時程度の時間帯で運営されているのが一般的ですが、ブラジルの私立幼稚園・保育園は2部制・3部制で運営されています。

2部制は、7時~13時・13時~19時、3部制は7時~11時・11時~15時・15時~17時といった時間帯で構成されています。それぞれの家庭のニーズに合わせて利用する時間帯を選択可能なのがメリットです。
また、私立は利用料が高くなっていますが、幼児教育から高校まで一貫して預けることができる学校が多く、高水準の教育を受けさせることができることも人気の理由となっています。

国土が広く、各自治体ごとで運営状態はさまざま

ブラジルは国土が広い国。そのため、行政に関しては各自治体の裁量が日本に比べて大きくなっています。

教育は教育省が管轄していますが、各自治体による部分が大きいため、自治体が運営する公立の幼稚園・保育園は、自治体の資金状態によって格差が生じることが問題として挙げられています。

私立の幼稚園・保育園では、充実した教育を受けることができますが、利用料も高くなっていることから、幼児教育の時点から格差社会の影響を受けてしまいます。
とはいっても、幼稚園・保育園に無料で通える児童福祉制度が実施されていることは、貧困層の家庭にとって、大きなメリットであると言えますね。

まとめ

今回は意外と知られていないブラジルの保育・幼児教育の実態をリサーチしていきました。日本と非常に親密でありながら、文化の違いなどからさまざまな差異が感じられましたね。
ですが、「公立園の無償化」「ベビーシッター文化の広まり」「低年齢児も義務教育対象」など、メリットの感じられるさまざまな制度が実施されている点は、日本でも見習うべき要素であると考えられます。

ブラジルでも日本でも、子どもを思う気持ちは同じ。今回のように海外のさまざまな保育や幼児教育についての知識を得ることは、子どもの育ちを見つめ直すいい機会となるのではないでしょうか?
保育ぷらす+では、他にも世界のさまざまな保育の形に迫った記事を公開しています。興味を持った方はぜひとも御覧ください!

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