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保育士試験の過去問、合格のために活用するポイントは?過信はNG!?|保育士求人募集なら保育ぷらす
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保育士試験の過去問、合格のために活用するポイントは?過信はNG!?
今回のポイント
保育士資格を取得するためには、筆記と実技から成る保育士試験に合格する必要があります
2018年度から、改定後の「保育所保育指針」が適用されるため、今後は保育士試験の内容が見直されます
新しい「保育所保育指針」の骨組みをしっかり理解して、改定後の内容で学習しましょう
目次
保育士試験ってどんな試験?まずは内容を整理しよう
保育士試験の概要
保育士試験とは、児童福祉法で定められた国家資格である保育士資格を取得するための国家試験です。
受験資格を得るためには、「学校教育法に基づく専門学校・短期大学・大学(各二年制以上)の卒業もしくは62単位以上の保有」「児童福祉施設での一定期間の実務経験(中卒:5年以上7200時間、高卒:2年以上2880時間以上)」のうちいずれかの要件を満たしていなければなりません。
保育士試験は、筆記と実技の2項目で構成されています。筆記試験は9科目から出題されるマークシート式です。この9科目とは、保育原理・教育原理・児童家庭福祉・社会福祉・社会的養護・保育の心理学・子どもの保健・子どもの食と栄養・保育実習理論です。合格のためには、全科目で6割以上の得点が必須です。一度合格した科目は3年間有効なので、すべての科目で合格できなかった場合でも、一度合格した科目については3年の間試験でパスできます。
一方、実技試験は、音楽表現・造形表現・言語表現に関する技術を、試験官の前で実践する試験です。
試験の日程は2つあり、前期が4月に筆記試験で7月に実技試験、後期は10月に筆記試験で12月に実技試験です。受験会場は都道府県ごとに設置されます。
すでに合格済みの科目がある場合や、福祉系国家資格を所有している場合などは、一部科目の受験免除制度もあります。
保育士試験の難易度・合格率は?
保育士試験の合格率は、20%前後を推移しています。これは9科目全てに合格した人の割合ですが、受験科目の免除が行われている影響もあって合格率は順調に伸びています。2017年度は、受験申請者数62,555人に対して、合格者は13,511で、合格率は21.6%という結果でした(厚生労働省「保育士試験の実施状況(平成29年度)」)。
およそ5人に1人が合格する計算なので、決して易しい試験ではありません。合格のためにはしっかりと勉強しておく必要があるでしょう。
ここが変わった!保育士試験の近年の変化
保育士試験は、試験制度に頻繁に変更が加えられています。たとえば、これまで試験は年1回行われていましたが、2016年度からは年に2回行われることになりました。さらに、地域限定保育士試験を実施する地域もあり、合格のチャンスは増えています。
また、2014年~2019年末まで、幼稚園教諭免許の所有者で、免許取得後に3年以上かつ4320時間以上の実務経験を有している場合には、一部試験が免除されます。この条件を満たしていれば、現在保育関係の仕事をしていない人でも対象になるので、より多くの人が保育士の資格取得に向けて挑戦しやすくなっています。
保育士試験の過去問を無料で入手する方法
保育士試験の勉強をするときは、過去にどのような問題が出題されたかを知るために、過去問をチェックして実際に解いてみましょう。保育士試験の過去問は、保育士試験や保育士の運営を行っている「一般社団法人全国保育士養成協議会」のホームページ( https://www.hoyokyo.or.jp/exam/pasttest/ )より無料で入手可能です。年度別に、前期と後期それぞれの試験の過去問を閲覧できるので、試験対策としてうまく活用しましょう。
筆記試験については、過去5年間の過去問が問題と解答をセットにしてPDF形式で配布されています。ダウンロードや印刷など、誰でも自由に利用可能です。
実技試験については、過去5年間に出題された試験の概要がホームページにて公開されています。たとえば、音楽表現では課題曲と演奏する楽器が指定され、注意点なども掲載されています。これに沿って実際の課題曲を練習し、本番に備えましょう。当日に試験官の前で演奏することを前提に訓練することも大切です。
言語表現では、対象とする子どもの年齢と課題の物語のタイトルが掲載されています。子どもたちが自分の目の前にいることを想定して、対象年齢の子どもたちが集中して聞けるような表現や話し方ができるかを実際に試してみるのもよいでしょう。造形表現は当日に課題が提示されるため内容は掲載されていませんが、持ち物や用紙、制限時間の指定が記されているので確認しておきましょう。
保育士試験の過去問、過信はNG!その理由って?
保育士試験の過去問を見ると、これまでの試験傾向を知り対策を練ることができますが、過去問を完璧に解いても実際の試験問題と食い違うところは出てきます。これには大きく分けて2つの理由があります。
保育業界ならでは!法律や学説の変化に注意
保育士試験の科目には、法律の改正や学説の変化、統計情報などに大きく左右されるものがあります。5年前には正しいとされていた答えが、現在では変わっていることもめずらしくありません。過去問には古い情報に基づいたものが含まれていることもあるので、過去問だけで勉強すると間違った知識を身につけてしまう可能性があります。
出題の傾向も大きく変化するのが保育士試験の特徴
科目も多く、出題範囲も広いので、設問には例年頻出の領域とそうでない領域があります。そのため、過去のイレギュラーな出題は優先度が低いものと判断できます。試験に出た問題の重要度に差が大きいため、一概に過去問が参考になるとはいえません。
また、出題される科目自体が改訂されているケースもあります。こうした点を踏まえると、過去問はあくまでも「本番の形式に慣れるためのツール」と位置づけ、年度別に調べて出題傾向などを分析するために活用するのがベストだと言えます。
10年に1度の大改訂!?2018年度適用開始の新「保育所保育指針」が試験に与える影響
保育所保育指針って?
保育所保育指針とは、保育所の運営や保育内容についての指針を定めたものです。保育水準を一定に保つための全国共通の枠組みとして、厚生労働省が告示しています。保育士試験では、「保育原理」やその他の試験科目で保育指針関連の問題が例年よく出題されています。全国の保育園で遵守すべき保育の基本とされており、2017年に改定され2018年度から適用されることとなりました。2008年以来、約10年ぶりの改定です。
保育所保育指針のココが変わった!2018年度からの変更ポイントまとめ
改定前の保育所保育指針は、全7章の構成でした。
その内容は、第1章「総則」、第2章「子どもの発達」、第3章「保育の内容」、第4章「保育の計画及び評価」、第5章「健康及び安全」、第6章「保護者に対する支援」、第7章「職員の資質向上」です。今回の改定により、第1章「総則」、第2章「保育の内容」、第3章「健康及び安全」、第4章「子育て支援」、第5章「職員の資質向上」の5章構成に一新されました。時代の流れなどを汲み取り、各章の内容が更新されています。
保育所が「幼児教育施設」として位置づけられるようになる
昨今の社会情勢を反映し、従来の幼稚園とともに保育所も幼児教育施設とすることが記されています。幼稚園・保育所・認定こども園すべてを幼児教育施設とし、一定の教育水準を定めることで小学校教育との接続の強化を試みるねらいもあります。
「保護者に対する支援」が「子育て支援」に
保育所が行う地域における子育て支援の役割が重要になっていることから、「保護者に対する支援」の章が「子育て支援」に改められ、地域や家庭に配慮した具体的な記載内容になりました。
職員の資質・専門性の向上
職員の資質・専門性の向上について、研修の実施や活用についての記載が増えました。国が推進する待機児童解消施策であるキャリアパス制度の存在が理由にあります。
乳児・3歳未満児保育の記載の充実
0~2歳児の保育所利用率の増加などを踏まえて、0歳児と1歳以上3歳未満児の保育についての項目が個別に整理され、内容がより充実しました。
健康及び安全の記載の見直し
環境の変化を踏まえて、食育の推進、アレルギーについて、安全な保育環境を確保するための災害対策などに関して内容が見直されています。
保育指針改訂で過去問は参考にならない?最新内容の対策テキストは?
2018年度から始まる新しい保育所保育指針の適用を受けて、保育士試験の内容は今後見直されていくことが予想されます。そのため、過去問を直接参考にするだけでは改定後の保育指針に対するフォローが不十分になります。過去問の使い方は、これから変化していくことになるでしょう。
筆記試験は、各科目につき60分と設定されています。時間を正確に測って、本番と同じように過去問を解き進めてみて、ペース配分や解き進め方の感覚をつかむようにしましょう。
保育所保育指針の改訂により、大きく変更が加えられる可能性が高い科目は「保育原理」です。新しい保育指針の骨組みをしっかり理解し、改定後の内容で十分に学習する必要があるでしょう。一方、改訂の影響が少ない科目についてはこれまでの過去問も十分参考にできます。
実際に保育所保育指針の改訂が試験問題に反映されるのは、2019年度からと予想されます。改定された保育指針と、それに対応した最新のテキストを参考にしながら対策を進めましょう。
新しい保育所保育指針については、厚生労働省より公式の解説書が出ています。新しい指針について、より深い理解を得て学びたいときに役立ててください。
おわりに
保育士試験に合格するためには、新しい保育所保育指針の内容を理解したうえで、過去問で出題の傾向や時間配分の感覚などをつかみながらしっかりと時間をかけて対策を取らなければなりません。問題の難易度や傾向は毎年変化することもあり、決して簡単な試験とはいえませんが、保育士として働くためには保育士の資格が必要です。保育士は子どもの成長を間近で見守れるやりがいのある仕事なので、自分が保育士として働く姿をイメージしながら試験勉強に取り組みましょう。実際に保育士となってから、あのときがんばって勉強して良かったと振り返ることができるでしょう。
参考資料
キャリアステーション 保育士総合講座
http://www.career-station.co.jp/contents/examination/exemption/
保育士試験の実施状況 平成29年度
https://goo.gl/4KaVCk