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保育現場に見る解体保育の新しい形
待機児童問題などもあり、保育士・保育所不足が叫ばれる近頃において、保育業界は完全なる売り手市場可のように思われますが、実態はそうではありません。
保護者の教育熱が高まっているせいか、各保育所は様々な保育サービス、教育法などで熾烈な競争を繰り広げています。
英語、リトミックなどなどあげていけばきりがありません。
また、近年進んでいる公立保育園の民営化もその競争に拍車をかけているといえるでしょう。
そんな、保育所が売りにする教育・保育法の1つとして「解体保育」があげられるのではないでしょうか。
今回は、そんな解体保育について詳しくお話をしていきたいと思います。
解体保育とは?
解体保育とは子どもたちを縛る、クラスなどの枠組みを一度解体し、自由に、子どもたちの意思で、物事に取り組むことを推奨する保育法です。子どもたちの個性を大切に、自主性を重んじる教育の一環といえるでしょう。
解体保育の事例
では、実際に解体保育は実際の現場でどのように行われているのでしょうか。実際に解体保育を行っている園を例に見てみましょう。
まず、解体保育を行う前日、先生が園児に、どのような活動が用意されているのかを紹介します。子どもたちは、それをもとに、次の日、自分が行いたい活動を決めそのクラスに行きます。
友だちと相談して決める園児もいれば、自分でこれをやりたいと決める園児もいます。
そして当日、その教室に行けば、当然いつもとは違う先生、園児がいるわけです。慣れない環境で、いつもとは違う先生からの指示を受けます。
行われている活動の一例として、段ボールでの家づくりがあります。これは決して園児一人でできる作業ではありません。何人かで協力して行うことが必須。あまり話す機会のない違うクラスの園児たちと協力して作業を進めなければならないため、意思疎通能力が鍛えられます。
作っていく中で、「窓も作りたい」とか「2階も作ろう」といったいろいろなアイデアが生まれてくるのも共同作業のいいところです。しかし、そういうアイデアが出るたびに、それをどのようにして実現させるかというところでまたコミュニケーションをとることになるので園児の成長に一層つながります。
解体保育では、いかに子どもたちが自主的に協力して作業を行えるかがカギとなります。普段あまり関わりのない人と、共通の目的に向かって作業をするための社交性・コミュニケーション能力を伸ばすことのできる保育法ではないでしょうか。
解体保育の際の注意点
解体保育を行う上で注意する点は、園児よりもむしろ、保育士側にあるかと思います。
解体保育に限らず、園児の自主性に任せて保育を行うときは、過度に干渉してはいけないことは確かですが、それは傍観者になるということではありません。
常に園児の様子を観察し、ここぞという場面で助けの手を差し伸べる。観察したうえで園児について気になる部分があれば、ほかの保育士や保護者と共有する。園児の自主性に任せて大人は黒子に徹するというのは、思っている以上に難しいことなのです。
最後に
解体保育をはじめ、近頃子どもたちの自主性や個性を育む保育法をとる園が多く見受けられるようになりました。
保育士にはこれからますます子どもたちを「見る」という能力が必要とされてくるのではないでしょうか。