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問題点をしっかり見極めて未来を見据える!「品川区の教育改革」

品川区 保育改革
東京23区の待機児童数ランキングにおいて、品川区は2015年の8位から、翌年には13位までランクを下げ、待機児童数も約20%減らすことに成功しています。そんな品川区が掲げる教育改革をご紹介します。

品川区は「プラン21」や認定こども園の増設、保育士に対して最大8万2千円の家賃補助など、様々な角度から教育環境を改善しようとアプローチを進めています。

今回は、品川区教育委員会教育長、若月氏が語った、今後の品川区の教育における展望を紐解いていきましょう。

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真面目さ故の日本の教員の問題点とは?

世界でも、日本人の国民性が真面目で勤勉ということは強く印象付けられているでしょう。

しかし、それ故に、日本の教員は視野が狭くなり、自己満足に陥る傾向がある、と品川区教育委員会教育長の若月氏は語ります。

いわゆる、教員の「浮世離れ」につながっているとのこと。

品川区が「学校選択制」の導入で世間の注目を集めていた頃、それに関連して1人の教師が、「私たちは粉骨砕身子どものためを思って日夜努力している。なのに、なぜ、品川区教育委員会は私たち教師にさらに鞭打つかのように、教育改革を叫ぶのか」と質問したと言います。

噛み合わない議論

教師たちは努力してやるべきことをやっているつもり。しかし、品川区教育委員会が掲げる方向性とズレが生じている。

その結果、国内の教育改革議論がなかなか噛み合わず、スムーズに新制度導入が進まないのです。

つまり、「教育」と一口にいっても、それぞれの人がまったく別の視点やイメージで語っているというのが最も大きな問題点となっているのです。

 品川区が掲げる3つの大きなカテゴリー

品川区の「教育改革」では次の3つの大きなカテゴリーを設けています。

1、指導の内容、方法、教材の改善

2、学校経営の改革

3、学校制度の改革

≪子どもたちの学力低下≫

指導の内容や方法、教材の改善は教育改革をしていく上で必須の項目となります。

それと同時に、今問題となっているのが、教員の努力にも関わらず、子どもたちの学力や規範意識が弱くなっているという点です。

つまり、教員一人ひとりの努力だけでは、日本全体の教育水準は必ずしも上がらないということです。

よって、管理職、つまり校長の役割を見直すことも重要となります。

≪校長の態度や意識の改善≫

 

品川区 待機児童

 

学校経営の改革としては「学校選択制」の導入が関わっています。

実際に品川区が「学校選択制」を導入した意図としては、多くの生徒から選ばれる人気の学校になるために、学校の雰囲気を良くしたり、取り組みをアピールするなど、学校は質を上げることに注力するようになります。

また、宣伝力も向上し、地域と繋がっていくこと、そして校長の態度や意識の改善にも繋がっていくということです。

≪義務教育制度のあり方を見直す≫

学校制度の改革において、品川区は義務教育制度のあり方も考え直しています。

学校教育制度の改革例としては、子どもの発達状況に合わせた小中一貫教育があります。

品川区は教育特区なのでそれが可能ですが、この取り組みを日本全体に広げるには法改正なども必要となります。国家レベルの改革が必要ということです。

「道徳教育」に代わる「市民科」を新設

品川区では「道徳教育」の代わりに「市民科」を新設しました。

その理由は、道徳教育で「希望や夢を持って生きましょう」という前に、まずは「生きる」という現実を強烈に伝えなければならないと考えているからです。

しかし、教員からは、学校と家庭の役割分担について、「学校で何もかも教えるのは無理なため、学校としての最低限の守備範囲を明らかにするためにもどこかで線引きをした方が合理的では?」という質問も上がりました。

品川区では、これまで学校と家庭の分担を明確にする方針できていましたが、2011年度から「統合」に切り替えることに決定しました。

線引きをしてしまうと、家庭で必要な教育をまったく受けずに大人になる子どもが出てきてしまい、子ども同士の格差が拡大します。

品川区では、本来家庭で教育すべき部分も「市民科」などに組み入れ、授業参観やPTAなどを通じた親の啓発も家庭の役割を補完・強化する上で重要視しています。

重視すべきは「中身」のあるコミュニケーション

品川区では、市民科の導入の際、グローバル社会に対応するために今後は「国際科」が重要になると考えています。

最近の若者は海外留学や海外赴任に消極的な傾向にありますが、人口減少を考えると、このような「内ごもり」傾向は懸念すべき点で、後発国に進んで出ていって、現地の人と一緒に国づくりができるような人材を輩出することが大切なのでは、という議論がありました。

しかしながら、品川区では、国際人を作っていく上で問題になるのは、英語能力だけではなく、伝えるべき、主張すべき「中身」のあるコミュニケーションをする「技術」を重視しています。

その「技術」を使って何を伝えるかが大事であり、その「中身」の部分を市民科その他の科目において改めて見直しているのです。

海外駐在にも管理職にも関心が薄い若者たちには、過去の経験を活かして、全体を奮い立たせるような方向性を早く見出す必要があると捉えていますが、、明確な方向性を示さない限り彼らを動かすことはできないというのが現状です。

まとめ

今回は品川教育改革についてお話しましたが、いかがでしたか?

「教育改革」と一口にいっても、いわゆる「教室(現場)からの改革」もあれば、市町村単位の改革や国レベルでしかできない大きな改革もあります。

校長、教員の意識改革と当時に、学校を選ぶ側の保護者や今後の未来を担う子供たちの認識を変えるためのコツコツとしたアプローチが少しずつでも功を奏し、品川区から日本全体の教育が変わっていくことに期待したいですね。

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