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学校に行かないで家庭で学ぶ!新しい学習の形「ホームスクーリング」とは?

幼児教育に力を入れている人が多いと思いますが、保育園や幼稚園以外に家庭での過ごし方も大切ですよね。今回は、そんなお話しです。

日本では義務教育という制度があり、子供が小学校に入る年齢なれば、我が子を学校に行かせるのが当たり前になっていますが、今世界では、家で勉強をさせる「ホームスクーリング」という教育スタイルを選ぶ家庭が急増しています。このホームスクーリングは、新しい学習の形として世界中の教育学者も注目しています。今回はそんなホームスクーリングのメリットやデメリット、日本や世界での状況などを含めてご紹介していきます。

 

ホームスクーリング

 

 

■ホームスクーリングとは?

ホームスクーリングは、学校に通学せず家庭に拠点を置いて学習を行うことで、オルタナティブ教育の形式のひとつです。ホームスクールやホームエデュケーションなど呼ばれることもあります。では、そもそもオルタナティブ教育とは何でしょう?聞きなれないかもしれませんが、実は日本でオルタナティブ教育が徐々に注目を集めています。その理由や日本の教育との違いを含めて、まずはオルタナティブ教育について理解しましょう!

■オルタナティブ教育とは?

オルタナティブ教育といっても様々な教育法がありますが、「保育ぷらす+」で紹介したものもいくつかあります。よく知られているものをご紹介すると下記の5つが有名でしょう。

•モンテッソーリ教育

•シュタイナー教育

•フレネ教育

•イエナプラン教育

•フィンランド教育

 

簡単に言うと、子供の自主性を大切にしながら子供自身の学習意欲や興味に沿いながら進めていく教育です。オルタナティブ教育では、子供の自主性を大切にするため、教師の役割は知識を教える役割ではなく、子供たちが自ら学んでいくためのサポーターとしての役割を持っているのが日本の教師の役割とは大きく異なる点です。

■ホームスクーリング(オルタナティブ教育)のメリット

アメリカの大統領、アラブハム・リンカーンやフランクリン・ルーズベルト、ジョージ・ワシントンなどもホームスクーリングの出身者です。アメリカで行った調査によると、普通の学校で勉強をしている子どもより、ホームスクーリングの生徒の方が平均点数も高いという報告も出ています。またホームスクーリングによって子どもの大半を12歳までに大学に入れてしまう家族も登場しているため、自宅で学習することの効率の良さは徐々に拡大していると言えそうです。

つまり、学校に行くと他の生徒と一緒の速度で学習し、先生は理解が浅い子のフォローをするなどで時間を取られますが、その子供ごとのスピードで勉強が進められるのはホームスクーリングの最大の利点でしょう。できる子は年齢に関係なくどんどん勉強を進めることができますし、勉強が苦手な子は個別で丁寧にフォローアップを受けてることができます。

■なぜオルタナティブ教育は生まれたのか?

オルタナティブ教育

 

オルタナティブ教育の「オルタナティブ」とは英語で「代わりの」または「代替えの」という意味を持ちます。つまり、学校教育に対する反対派として生まれた教育法と言われています。教育は昔から世界各地で様々な形で行われてきましたが、近代国家が文明を飛躍的に発展させるには、公教育が不可欠で、近代にいたって学校が整備され、国家が一律の教育を提供するようになりました。「全ての子どもに同じ教育を」という理念は、とても崇高なものですが、この世に1人として同じ子はいるはずもなく、矛盾も抱えます。よって、学校教育に反対している親がホームスクーリングを選んでいることも多いようです。

■ホームスクーリングの種類

ホームスクーリングを教育形態で分類すると、教科書などを使い保護者等が教師役をつとめる、あるいは保護者監督のもとインターネットで在宅講座を受ける「ラーニング・アット・ホーム」、他のホームスクール生徒とともに講義を受ける「アンブレラ・スクール」、子どもの自主性に任せて本人の学習する意欲・興味に従って教育を進める「アンスクーリング(ナチュラル・ラーニング)」等があります。

■ホームスクーリングの歴史

もともと近代以前は王族や貴族や裕福層など、特に一流の人々は、子供を学校に通わせずに、家庭教師などを付けるなどして自宅で教育することが多くありました。親が自力で優秀な教師や学者を選んで直接雇ったほうが、最高の教育を子供に与えることができたためです。つまり、家庭教育が選ばれて学校教育が避けられた理由のひとつは、教育熱心な親が最高の教師を念入りに選んだ場合に比べれば、学校教育のほうが質が低く、家庭教育のほうが質が高くできたという背景も影響しています。

■ホームスクーリングを選ぶ理由

ホームスクーリングを選ぶ理由は各家庭によって様々ですが、比較的多い理由は次の9つです。

1、健康面等に問題がある

2、いじめなど学校における問題のため、子どもが不登校になっている

3、保護者が英才教育を希望している

4、芸能活動を行っており学校に通う時間がない

5、家が学校から遠い(デンマーク、オーストラリア、米国の農村部に多い)

6、宗教的・思想的な理由で、子どもや保護者が学校での学習内容に満足できない

7、宗教・思想・学習内容が合うオルタナティブ教育機関が通学範囲にない

8、宗教・思想・学習内容が合う私立校へ通う金銭的余裕がない

9、イスラム教国の一部では国の政策により教育を受ける権利が制限されているため

日本で多いのは1~4のケースでしょう。国によって教育環境は様々ですが、宗教や思想の関係で望むようなレベルの教育が受けられなかったり、学校が家の近くにないなど、地域によっては選択肢が少ない場合も多いようです。

■日本でのホームスクーリング事情

≪ホームスクーリングだけを選ぶと法に触れる!≫

日本の文部科学省は学校教育法の規定により「義務教育を家庭で行うことを認めていない」としています。そのため、日本国内ではよっぽどの理由がない限り、ホームスクーリングを行って義務教育を意図的に子供に受けさせない保護者は学校教育法に抵触する事になります。

≪世界とは捉え方が少し違う日本におけるホームスクーリング教育≫

日本におけるホームスクーリング(オルタナティブ教育)とは、学校教育法等の法的根拠を有さない非正規の教育機関とそこで実施される教育を意味します。具体的には、フリースクール、インターナショナル・スクールなどの無認可校のことで、いわゆる学習塾や進学塾もオルタナティブ教育とは言いません。

■海外でのホームスクーリング事情

このホームスクーリングが現在、世界中で増加しているとのことですが、世界の義務教育制度は国によって異なっています。文部科学省のデータによると、就学義務あるのは、日本、アメリカ(州による)、ドイツ(州による)、韓国などで、一方で、イギリスやフランス、デンマークなどヨーロッパでは就学義務ない国が多いようです。

≪アメリカ≫

世界でホームスクーリングが最も盛んな国はアメリカです。アメリカではほぼ全ての州でホームスクーリングを合法としているため、学校教育に疑問を抱いている親たちは、進んで在宅学習を取り入れています。またアメリカの場合は、自宅を拠点としながら戸外の教育機関で過ごすというスタイルも発達しているため、ホームスクーリングを取り入れる家庭によってさまざまな方法を導入することができるのです。特に家と学校以外の教育機関を往復する場合は、自宅ベース教育という表現が使われています。

≪ドイツ≫

ドイツでは、ホームスクーリングに対して比較的ネガティブな反応を示しています。規定の教育を受ける義務を「義務教育法」で定めているドイツでは、親子一緒にホームスクーリングを行うことを処罰対象としています。また実際にホームスクーリングやフリースクールを利用した一家が、国外脱出を迫られるケースも急増していますので、ドイツでは「どんな事情があっても学校で義務教育を受けるべき」というルールが非常に強いことがわかります。

≪デンマーク≫

デンマークには日本のような就学義務はありません。そのため、親は子どもを学校に通わせなくてもよく、19世紀初頭に教育における親権が法令上で認められて以来、教育は親の責任のもとに行うという意識がデンマーク国民に培われています。つまり、ホームスクーリングが、そして自分たちで自分たちの学校を創る権利が2世紀近くにわたり「公認」されてきているということです。

≪イスラム社会≫

女性が教育を受ける権利が著しく制限されているイスラム社会では、アフガニスタンのように女性の通学を禁止している国も存在します。そのため、イスラム社会の女性達は、基本的にホームスクーリングに頼らざるを得ない実情があるようです。

■まとめ

各国の制度や社会環境によって賛否両論のあるホームスクーリングですが、学校という社会に馴染めない子どもたちの選択肢のひとつとして、今後も発展していく傾向が高いと言えそうです。特に、学校教育法によって小学校や中学校で義務教育をすることを定めている日本では、基本的にホームスクーリングを認めていませんが、しかし実際は、いじめによる不登校やひきこもりなどの理由で、学校で勉強ができない子どもたちも増えているため、今後の日本社会でもホームスクーリングの必要性が注目視されると言えそうです。

また、グローバル社会に対応できる国際人を育てようという政策も進んでおり、幼いころからインターナショナルスクールに通う家庭も増えているので、そこでホームスクーリングの概念を学び、家庭学習に力を入れる親も増えていくことが予想されるでしょう。

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