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認定こども園は保育園や幼稚園とどう違う?働く前に確認しよう
今回のポイント
認定こども園には「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」の3タイプがある
保育教諭になるためには、保育士資格と幼稚園免許の両方が必要
2020年3月までは「特例制度」により、比較的楽に必要な資格や免許を取得できる
目次
認定こども園とは
それではまず、認定こども園の定義・メリット・種類・認定基準・働くために必要な資格などについて、詳しく見ていきましょう。
認定こども園の設立
認定こども園は平成18年に施行された「認定こども園法」に基づき「教育基本法に則り教育を行う」幼稚園の機能と、「児童福祉法等に従い保育を行う」保育所の機能を合わせ持った施設です。
保育園と同様、保育に欠ける状況の子どもに8時間程度の長時間保育を行い、さらに幼稚園と同様の4時間程度の教育も行っています。
さらに認定こども園法では「地域の事情や保護者の要請により、必要な子育て支援事業を行う」と明記されており、地域と連携した運営が想定されています。
そのため、通園している園児の家庭に限らず、地域で子育てをしている家庭を対象にして、子育て不安の相談や親子の集いの場の提供など、子育て支援事業が行われています。
認定こども園を利用するメリット
認定こども園を利用する保護者のメリットとして、次の3点があげられます。
・保護者の就労の有無に関わらず、同じ施設に複数の子どもを預けることができる ・学校教育法に基づく教育と長時間保育を同時に利用できる ・子どもが認定こども園に通っていない家庭でも、育児相談など、子育ての不安を解消する子育て支援が受けられる |
なお、保育所は厚生労働省、幼稚園は文部科学省が管轄しているのに対して、認定こども園は「内閣府」の管轄になっています。
実際の認可は、国が定めた職員の配置基準や保育室、屋外遊戯場などの施設設備基準を満たした上で、施設がある自治体が行います。
認定こども園のタイプ
認定こども園には、その運営の方法によって4つの種類があります。
幼保連携型 | ・厚生労働省、文部科学省の双方の認可を受け設置・運営されている施設 ・地域の教育機関との連携を図り、小学校進学をサポートすることが目的 ・保護者の就業状況に関わらず子どもを預けることができ、保育料は所得に応じて変化 ・設置主体は国・自治体・学校法人・社会福祉法人のいずれか (経過措置として一部の宗教法人や個人も認められている) |
幼稚園型 | ・認可幼稚園をベースに、保育時間の延長・0歳児預かりなど保育所の機能を追加した施設 ・設置主体は国・自治体・学校法人 |
保育所型 | ・認可保育園をベースに、共働き家庭以外の児童受け入れなど幼稚園の機能を追加した施設 ・設置主体の制限はなし |
地方裁量型 | ・幼稚園・保育所などの認可を受けていない施設がベース ・国が定めた基準の上で、各自治体が定める認定基準に従い、認定を受けられる ・設置主体の制限はなし |
開園時間・開園日については、幼保連携型と保育所型は、11時間開園・土曜日の開園が原則です。
ただし、弾力的な運用も認められています。幼稚園型と地域裁量型では、地域の実情に合わせて設定することができます。
認定こども園の数は、近年急激に増加しており、平成29年4月現在で全国に5,081園あります。平成24年の909園と比較すると、5倍以上になっています。
公私の内訳は、公立が852園、私立が4,229園と、私立のほうがかなり多くなっています。
タイプ別の園数では、幼保連携型が3,618園、幼稚園型が807園、保育所型が592園、そして地域裁量型が64園です。
最も多い幼保連携型が、全体の71.2%を占めています。今後もこの4つのタイプの中では、幼保連携型が増えていくと予想されています。
都道府県別の数を見てみると、大阪府の505園が最も多く、次に多いのが兵庫県の400園、3番目に多いのが北海道の284園です。逆に最も少ないのは、三重県の27園です。
待機児童が最も多い東京都は120園で、それほど増えていない状況です。認定こども園の数は、都市圏だから多い、地方だから少ないというわけではありません。
また、地方では定員に満たない施設が生き残りを図って移行することも多いようです。
認定こども園で必要な資格
認定こども園で働く職員に必要な資格・免許要件は、タイプによって異なります。
保育と教育の両方を行うので、基本的には幼稚園教諭と保育士の両方の資格が必要です。
幼保連携型 | 全員に幼稚園教諭と保育士の両方の資格が必要です。ただし経過措置があります。 |
幼稚園型 保育所型 地方裁量型 |
いずれも、3歳未満を担当する場合は保育士資格が必要となります。 満3歳以上の担当は、幼稚園教諭と保育士両方の資格を持っているのが理想的とされています。 |
現実的には、3~5歳の担任は幼稚園教諭の資格を持つ人が行い、保育の長時間利用は保育士資格を持つ方が行うため、少なくともいずれかの資格は必要です。
保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持ち、幼保連携型の認定こども園に勤務する職員のことを、「保育教諭」と呼びます。
平成32年3月末までは経過措置があり、保育資格と幼稚園教諭免許のいずれか一方を持っていれば、「保育教諭」として勤務することができます。
今後は幼保連携型だけでなく、その他のタイプの認定こども園でも、採用に際しては両方の免許・資格を持っている人が優先されるでしょう。
認定こども園の配置基準
認定こども園の職員の配置基準は、従来の保育所と幼稚園両方の基準に合わせて設定されています。
0~満2歳児と満3歳児以上の長時間利用児(8時間程度利用)については、保育所の基準が適用され、満3歳以上の短時間利用児(4時間程度利用)には幼稚園の基準が適用されます。
また、3歳児以上で学級を編成する場合は、幼稚園と同じく35人以下のクラス編成となり、専任教諭が1人必要です。
長時間利用児 | 0歳児:3人につき保育士1名 |
1歳児:6人につき保育士1人 | |
2歳児:6人につき保育士1人 | |
3歳児:20人につき、保育士1人 | |
4歳児:30人につき保育士1人 | |
5歳児:30人につき保育士1人 | |
短時間利用児 | 3~5歳児 35人につき専任教諭1人 |
認定こども園の施設設置基準
認定こども園の施設設置基準は、0~2歳児に係る施設設備については、保育所の基準が適用されます。
一方、3~5歳児に係る施設設備については、幼稚園と保育所両方の基準が適用されます。
いずれの場合も、認定こども園では、食事の提供が義務付けられているので、調理室を設置しなければなりません。
また0~1歳児には、授乳室とほふく室、2歳児には保育室と遊戯室の設置が必要です。
それぞれ園児1人あたりの敷地面積が定められています。乳児室は1.65平米、ほふく室は3.3平米、保育室は1.98平米以上なければなりません。
その他、屋外遊戯場や運動場の設置も必要です。
満2歳児には保育所基準で3.3平米、満3歳以上は幼稚園基準(3学級400平米、1学級増につき80m平米増)か保育所基準の大きい方が適用されます。敷地内に設置できない場合は、近隣の公園等に代替えが可能です。
認定こども園と従来の保育施設の違いは?
ここまで、認定こども園という施設形態について整理してきました。
認定こども園の給与や労働時間など、待遇や保育の内容は、従来の保育施設とどのような違いがあるのでしょうか?
まず、認定こども園の保育士の給与水準については、従来の保育所などと同じ程度になっています。
給与は運営主体によって異なりますが、やはり地方公務員の資格となる公立のほうが、私立に比べて高くなります。
園によっては幼稚園教諭免許を持っていると、資格手当が加算される場合もあります。また、月の固定給が低く、代わりに賞与が高くなる傾向が一部に見られます。
勤務時間は、1日8時間勤務としている施設が大半です。保育園担当か、幼稚園担当かでも勤務時間は異なり、保育所機能を担当している場合は、早朝保育や延長保育があるため、シフト制が取り入れられています。
休日は週休二日制ですが、幼保連携型や保育所型など土曜日も開園している場合は、休日の曜日もシフト制で取得します。
認定こども園では、従来の保育園と幼稚園を合わせた年代の子どもを対象にするので、より幅広い保育の経験が積めます。
また、長時間保育と短時間保育の両方を見るため、同じ年齢でも子どもによって帰宅する時間が異なり、保育内容を工夫して偏りのない保育が求められます。
保護者も、働いている人や主婦など多様化するので、最初は戸惑うこともあると思います。しかし、さまざまな子どもや保護者に対応することで、保育者としてのスキルアップが可能です。
認定こども園で働くための「特例制度」とは?
幼保連携型の認定こども園で「保育教諭」として勤務するためには、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が必要です。
実際、全国の認定こども園の7割以上は幼保連携型となっており、多くの保育園や幼稚園がこのタイプのこども園を目指します。
しかし現在の職員には、保育園であれば保育士、幼稚園であれば教諭の資格しか持っていない人もいます。
そのため、いずれかを有していれば「保育教諭」とみなす経過措置が5年間、設けられています。
そしてこの経過措置の間に、残る資格・免許を取得させるため、いずれかの資格・免許を持っていれば、もう一方の資格・免許を少ない学習負担で取得できるようにする特例制度が設けられました。
この制度の対象者や内容について、詳しくみていきましょう。
認定制度の対象者
保育士資格または幼稚園教諭免許を持っており、保育所や幼稚園など実務経験の対象施設と認められた施設で、「勤務年数3年以上かつ勤務時間4,320時間以上」ある人が対象となります。
現在、勤務していない人でも実務経験の条件を満たしていれば対象となります。
また、平成32年3月までに実務経験の条件を満たす見込みがある人も対象です。複数の施設で勤務した場合は、実務経験の勤務年数・勤務時間数の合算も認められます。
実務経験の対象施設には、認可外保育所(無認可保育園)も入ります。
一方、利用児童の半数以上が一時預かりや夜間保育の施設、利用定員が6人未満の施設、平成27年3月までの事業所内保育所・院内保育所・家庭的保育事業(ママ保育)は対象外です。
勤務している施設や勤務していた施設が対象施設に該当するかどうかは、各都道府県の教育委員会、または保育主管部局で確認できます。
都道府県によっては、ホームページで対象となる施設の一覧を確認できる場合もありますので検索してみてください。
なお、受験申請の際には、これらの勤務先または元勤務先が発行した「実務証明書」の添付が必要です。
筆記試験の免除
特例制度では筆記試験が免除され、大学や専門学校などの養成施設で最大8単位を修得することで、保育士資格または幼稚園教諭免許を取得できます。
また、通学で修得するだけでなく、各養成施設が開講しているインターネットのオンライン講座や通信講座を受講して単位を修得するコースもあります。
現在勤務中で養成施設に通学する時間が取れない人も、通勤時間や休日など空いた時間を利用して学習することが可能です。
特例制度を利用すれば、通常よりも短時間かつ少ない費用で資格・免許を取得することができるので、ぜひ、利用してみましょう。
認定こども園の求人は増加している!
認定こども園の数は、年々増加しています。今後も全国的に既存の保育園や幼稚園が認定こども園に移行していくと予想されます。
特に、幼稚園が認定こども園に移行する場合は、保育時間が延長になるため、新たな人材として保育士の有資格者が必要とされます。
また、公立の保育所が民営化される際には、幼保連携型の認定こども園として運営されることがほとんどです。
そのため、認定こども園のタイプの中では「幼保連携型」が増加していくことが予想されます。
幼保連携型の認定こども園で働くためには、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方の取得が必須となるため、保育士・幼稚園教諭両方の資格・免許を持つ「保育教諭」の求人が今後増えていくでしょう。
他のタイプの認定こども園でも、採用に際しては両方の資格・免許を取得している人の方が優先的に採用されるでしょう。
おわりに
認定こども園の新設や移行は、今後ますます進んでいくと思われます。
仕事探しを考えている人は、取得の特例制度が終了する2020年3月までに、保育士の方は幼稚園教諭免許を、幼稚園教諭の方は保育士資格を取得しましょう。
キャリアアップや転職に有利になるはずです。
参考資料
内閣府ホームページ資料
http://www8.cao.go.jp