お役立ち保育コンテンツ

テストが無いフィンランド教育法!勉強時間が少ないのに世界1位なのはなぜ?

フィンランド教育
世界で最も子どもの教育水準が高いフィンランド。その教育は、勉強時間ではなく質を高める教育方法にありました。
国際学力比較調査「PISA」において、フィンランドは常に上位にランクインしており、過去には合1位を獲得したことが話題になりました。

人口600万人弱のフィンランドが「国民の幸福度」「教育レベル」「福祉」等の分野でトップランクに入っているのは、国を挙げて素晴らしい教育改革を行ったからなのです。
今回は世界一と言われる「フィンランド教育」について、保育業界専門の求人サービス「保育ぷらす+」が解説していきます。

■学力世界1位は充実した社会保障から生まれた!

まず、知っておいていただきたいのが、フィンランドの社会的システムの充実度です。

充実した社会保障が国民に安心した暮らしを提供し、「国民の幸福度アップ」や「世界トップの学力」に繋がっているとされています。フィンランドの社会保障が教育の分野においてどれほど充実しているのかを見ていきましょう。

≪子どもが生まれたら必要なものはほぼ国から支給される!?手厚い育児支援≫

フィンランドの教育システムでは、7才~16才に渡って9年間の義務教育を受けられます。
さらに、子どもが生まれると、国から母親全員にベビー服や布団、哺乳びんや絵本などのセットが届き、17歳までの子ども全員に月1万3千円程が支給されます。

また、授業料が無料というだけでなく、子どもたちには通学手段、食事(給食)、教科書や学用品が無償で提供されるなど、育児への支援が非常に手厚いことがフィンランドの特徴です。

≪保育支援も手厚い!就学前のプリスクールは完全無償≫

日本では我が子をより良い保育園や幼稚園へ入れようと、高いお金を払って受験などに励む家庭も増えていますが、フィンランドでは、小学校に入学する前の1年間、6歳児を対象に就学前教育(プリスクール)での準備期間があります。
読み書きや数字、社会道徳などを学び、小学校で学ぶ上での基盤を整えます。この就学前教育は任意参加ですが、ほとんどの子どもが参加し、この教育も無償で受けられます。

≪その他にも子どものための無償サービスがたくさん!≫

フィンランドでは、校医、学校看護婦、学校ソーシャルワーカー、学校心理士、生徒カウンセラー等のサービスを無償で必要に応じて受けることができます。保護者としても安心できる体制が整っていると言えるでしょう。

≪学習に困難を抱えた子どもに手厚い指導を!≫

フィンランドでは「すべての子どもがわかるまで」を基本に、平等な教育が徹底されています。

学習に困難が生じている子どもに対しては、即座に特別支援教育によるケアが実施されます。
そのため、ひとつの学級は24人以下の少人数で、実際には20人以下のクラスも多くなっています。「競争させるよりも学ぶことの意味を理解させる」という理念を感じられますね。

≪難民や移民でも平等に教育を受けられる!≫

フィンランドは、国全体の学力差を最も小さくしながら国際的に学力を最も高くしています。
これは時間をかけて、「平等の教育」という目標のもとに国が教育改革を行ってきた結果によるもので、フィンランドでは自国の国籍をもつ子供だけでなく、フィンランドに暮らす難民や移民の子どもたちにも平等に教育を受ける権利が保障されています。これは他の国では滅多に見られないシステムでしょう。

「人材こそ財産!」1970年代の教育改革で変わったフィンランド式教育

フィンランド教育が世界一と呼ばれる所以は、1970年頃に始まった教育改革にあります。
国土も小さく、天然資源もなかったフィンランドは、「人材こそ財産である」と考え、教育への投資を拡大することを決断しました。

これらの教育改革を経て、世界的にも高水準の成果を生み出すフィンランド式教育が生み出されたのです。

■宿題もなくて、授業日数も一番少ないのに世界トップ!フィンランド教育の特徴とは?

≪少ない授業量と年間授業日数≫

フィンランドの年間授業日数は約190日で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も少なく、日本と比べると40日ほど少ないことになります。

夏休みは6月中旬から8月中旬までの2カ月間と長めで、小学生の間は宿題やテストもほとんどありません。また、日本の様に塾がないため、校外で勉強することがありません。
家での勉強時間も他の国と比べると少ないです。そうすることによって、フィンランドの子どもたちは、オンオフを意識し、自発的に勉強に取り組めるようにモチベーションを保つことができているのです。

≪世界一多い読書量≫

フィンランドは読書量でも世界1位です。国内には図書館が数多くあり、本を読む機会を確保しやすいようになっています。
子どものときから読書癖をつけることで、夏休みに宿題がない子供たちは、自分の興味がある本を好きなだけ読める時間があるということです。

≪質のいい教師≫

フィンランドでは、子どもたちが将来なりたい職業として「教師」への憧れが強い国です。保育園に通う程度の年ごろから、教室を夢見る子どももいるそうです。

すべての教師を大学院で養成し修士号取得を要請している国は、ヨーロッパのなかでもフィンランドのみです。そのため、必然的に教師自体の学力が、他国と比べ高くなっています。
また、教師の勤務時間は少なく、ほとんど授業時間のみです。日本のように部活動などで多大な時間を費やさないため、勉強を教えることだけに専念できる環境になっているのも、日本とは大きく異なる点ですね。

フィンランド教育

■ワクワク学ぶ!フィンランド教育の工夫3点!

フィンランド教育では、子どもたちの学力を高めるために様々な工夫があります。子どもたちが好奇心をもって楽しく学べるようにすることを大切にしており、特に下記の3点はフィンランド教育を語るうえで欠かせないポイントです。

≪①入学試験がない≫

日本のように高校入学のための試験はありません。入学試験がない代わりに、9年の義務教育期間中の成績の平均点で希望の高校の合否が決まります。生徒は5つ希望の高校を選び、成績のよい順に希望の高い高校へと進みます。義務教育期間中の成績はペーパーテストだけでなく、日々の学習の取り組みや成果も評価対象となっています。

≪②子供が自ら考えて学ぶ≫

フィンランド教育では、子どもの自主性に任せた教育が行われます。勉強はあくまでも生きていくために必要なものだということを理解させ、興味をもったことを自主的に学習するように促します。

≪③脱落者を出さない≫

平等な教育を謳っているフィンランド教育では、脱落者を出さないことを重視しています。分からない事柄へのフォローが手厚いため、勉強嫌いになる子どもは少ないそうです。

「テストの点や順位のために勉強するのではなく、自分のために学ぶことが教育の根本である」という考え方から、このような方針で教育が行われています。

■フィンランド式教育を受けた子供は将来成功する可能性大!?

世界的な学力テストで、常にトップクラスにあるのがフィンランド教育の大きな成果だといえます。

そのほか、子どもの自主性に任せる教育が行われるため、成長した後も自分自身の創意工夫を大事にします。就職後も会社では効率性を大切にし、任された仕事を効率的に達成することを考えられるようになります。

また、ワークライフバランスを大切にし、家族と一緒にいる時間を重視する姿勢も、競争社会とは無縁の環境で暮らしてきたことが土台になっていると考えられています。

■世界トップなのに?今年、フィンランドはさらなる教育改革をスタート!

世界で一番と言われるフィンランド教育ですが、教育を取り巻く環境も、社会が必要としている能力も急速に変化しているため、その変化にあわせて教育も変えていかなければならないと国は認識しています。

新教育課程の柱となっているのは、「肯定的な感情を生み出す経験、共同作業、他人との交流、そして創作的な活動を向上させる学習」です。今回の改革では以下の3点が焦点となっています。

①「実例に基づいた教育」制度を導入する

新教育課程は、1年間のうち少なくとも数週間は「実例に基づいた教育」を実施するよう義務づけています。

例えば、教師は歴史や経済を単一で教えるのではなく、例えばEUを授業で取り上げて、そこにEUにまつわる歴史や経済などを盛り込んで教えます。
カリキュラムに関しては、学校や地域にある程度の裁量が与えられ、おおむね自由に決められるようです。

②生徒自身がともに授業を計画する

フィンランドの生徒たちは、新教育制度の計画作りに自らも携わり、そして自分の成果を評価をしています。
個々の科目を重視し、教師が一方的に指導するあり方を変えることは、教育に大きな変化をもたらすチャンスだと捉えているのです。

③共同作業に重点が置かれる

新教育課程では教室での生徒たちの座り方が変わります。
これまでは日本のように、教師が教団に立ち、生徒たちはその前に並べられた席に座って授業を受けていましたが、新教育課程では、生徒たちはいくつかのグループに分かれて授業を受けます。
グループで座ることでコミュニケーション能力の向上を図ることが目的となっています。

■日本の詰め込み型とは全く違うフィンランド教育の可能性

今回はフィンランド教育についてお話してきましたが、いかがでしたか?
日本のように学校のあとは塾に行って、受験のための詰め込み教育に追われる姿とは対照的に感じますよね。文化的背景が異なるので一概には言えませんが、フィンランド教育から日本が学べる部分はたくさんあります。

一方で、フィンランドでは消費税は24%ということもあり、多額の税金を教育に投資でき、その結果、子供たちが大人になって世界的に活躍し、国に利益をもたらすシステムが構築されているようです。

世界一と呼ばれるフィンランド教育の影響を受けて、日本でもこの教育を導入する幼稚園や保育園が徐々に増えているようです。

保育士・幼稚園教諭など、子どもに関わる職業の方は、ぜひこの機会に情報収集してみてはいかがでしょうか?
子どもたちの可能性を大きく変える一歩になるかもしれません。

【保育ぷらす+で過去に紹介した海外の保育方法の記事(参照URL)】

日本の未来を変える!?フランスで生まれた自主性を磨く「フレネ教育」とは?

テストもクラスもチャイムもない!?新しい教育の形「サドベリースクール」とは?

日本の保育業界に革命!?厚労省が検討するラヒホイタヤとは?

1分でカンタン登録 保育士の求職を無料でサポート 無料会員登録
1分でカンタン登録 保育士の求職を無料でサポート 無料会員登録

こちらのエントリーもどうぞ

会員登録(無料)
かんたん登録
お電話でのお問合せ