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世間の常識が学校では通用しない⁉品川の教育改革「プラン21」が面白い!|保育士求人募集なら保育ぷらす
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世間の常識が学校では通用しない⁉品川の教育改革「プラン21」が面白い!
目次
「教育業界は世間から見れば“浮世離れ”した印象を持たれている」と、教育に携わる人が言うことがあります。それは「世間の常識が学校では通用しない」という場面にたくさん出くわすからです。
例えば、一般的に世間では競争をすることが当たり前で、営業成績を競ったり、それによって給与やボーナスが変動しますよね。しかし、教育現場では「子どもたちに差別感を与えてはいけないので競争は避けるべき」という極端な平等主義も見られます。
また、特に学校が説明責任を果たすべき場面において、それに応じようとしない姿勢は問題視されてきましたが、一方で、学校が精力的に教育活動に取り組んでいても、保護者や地域の方の立場からは、学校の状況が全く見えないという事態が起きていました。
そこで品川区では、各学校が自らの取り組みについて“周辺の人々に説明をせざるを得ない状況”を作り出すことにしたのです。これが「プラン21」の意図です。
『教員の意識改革』と『学校教育の質的転換』という2つの基本方針から成り立っています。
なぜ「プラン21」は始まった?
品川区はまず、「小学校6年間&中学校3年間」というのが日本の義務教育のスタンダードですが、合計9年間の学校生活全体を見渡して整合性のとれた教育方針の下で行われている教育は、少なくともこれまでの公立教育では存在していない」という点を問題視しました。
つまり、小学校と中学校が全く異なる学校風土、文化もしくは慣習を以ってバラバラに存在しているため、学校間にギャップがあり、子どもたちがとまどっていると考えたのです。
そこで品川区では、問題解決のために「プラン21」を実施し、小中一貫教育を構想するに至りました。
教育課程は子供の心理的・身体的発達や行動面が小学校5年生生を境に変化する事に注目し、一貫性に留意しつつも「第1~4学年までのステージ」と「第5~9学年のステージ」の2つに分類しました。
学校は選ばれる立場!親や子どもが学校の良さを見極めて選択する「学校選択制」
改革の方策として、第一弾として品川区が実施しているのが「学校選択制」です。
学校選択制の目的は、単に学校を選んでもらうことではなく、“選ばれる立場に置かれた学校“の校長や教員が自分たちの取り組みを振り返り、効果的な教育について考え直し、それを保護者や地域にアピールし、説明していくことです。
学校の特色を活かすには何をすべきか、基礎学力定着のための対策はどのように行うべきか、といった課題に対して、学校組織全体で取り組んでいくのです。
単に計画を打ち出すだけでなく、その実現までを徹底して行えるように、親や子どもが学校の良さを見極めて選択する仕組みというわけです。
学校を選択する際の基準「外部評価制度」
▶その1:第三者の評価でニーズを学校づくりに反映させる「学校関係者評価」
学校を選択する際の基準として「外部評価制度」というものがあり、品川区が実施している2本立ての外部評価の1つ目が「学校関係者評価」です。
地域や保護者の代表が委員となって、学校の取り組みについて年間を通した評価を行います。
選出に当たっては学校から依頼し、数年の任期で継続してやっていただきます。
評価委員の人は、評価をする立場ではありますが、批判やジャッジをするというより、応援団長のように、学校の活動の良い点と改善点を外部の視点から出すことがお仕事となります。
委員のうち1人は必ず教育の専門家を交えて、各委員からの多様な意見をもとに、最終的な1つの外部評価として集約します。評価結果を学校が受け止め、役立てることにより、学校の質的転換へとつながっていくことが狙いです。
と考えています。
▶その2:経営論のアプローチを備えた「専門外部評価」
外部評価制度の2つ目は、3年に1回行う「専門外部評価」です。
これは学校経営や教育課程、学校法務、財務などを専門とする4人の委員が、年数回学校側に資料の提出を求めヒアリングを実施しながら、専門的な知見から学校評価を行ないます。
具体的な流れとしては、まず年度の初めに、校長先生からその年の学校運営の方針を聞き、次に、副校長や主幹からその方針が学校内で実際に機能しているかどうかをヒアリングします。
そして、最後にもう一度校長に対してヒアリングを行ない成果と課題について確認します。
この評価制度は対象校の課題を明らかにするだけでなく、効果的な取り組みに関しては情報共有を行い、他校の実践を自校の経営に生かすこともできます。
偏差値が全てじゃない!「学力定着度調査」
区が実施している学力定着度調査は、各学校の結果を見比べて良し悪しを判断するものではりません。
それぞれの学校がその結果を分析し、区の基準に満たなかった項目などについて確認をするなど課題を明確にし、指導体制や指導方法について具体的な改善策を打ち出すのが目的です。
調査結果や今後の指導方針、具体的な改善策は各学校のホームページで公開されています。
「プラン21」の3つの視点
品川区の教育改革には次の3つの視点があります。
①指導内容、教材、指導方法、指導形態の開発や改善
②学校の社会的位置付けに関する見直し
③学校教育制度の在り方に関する見直し
環境や設備が整っているのに、世界的に見て日本の教育は非常に凝り固まっていて柔軟性がないと言われています。
例えば、算数の解き方などで比較すると、海外は「5=〇+〇」となっており、答えは「2+3」もあれば「4+1」もあります。
しかし、日本は「2+3+〇」もしくは「4+1=〇」という教え方が主流です。
また、英語教育も読み書きはできても話せない人が多いのも事実ですよね。
日本の教育や学校は、根本的な体質そのものを変えていく改革を迎える時期だと言われています。品川の教育改革は対処療法的なものではなく、日本の教育の本質的、根本的な枠組みを変えていくために、この3つを掲げています。
まとめ
今回は品川の教育改革についてお話しましたが、いかがでしたか?
今の日本の義務教育の在り方については様々な見方があり、問題点が指摘されることが多いのは事実です。
この品川区の取り組みをきっかけに、より世界で活躍できる日本人が増え、グローバル社会に対応できる人材の育成につながるといいですね。