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異年齢保育(縦割り保育)で多様な関わり合いを持つ子どもたち

最近、異年齢保育を行うところが多いですがどのような効果があるのでしょうか。従来のクラス制との違いは何か見てみましょう。

■さまざまな年齢の子ども達を混合で保育

 

異年齢保育

 

子どもの保護者が保育施設を選ぼうとするとき、ポイントとなる方針や取り組みのひとつに「異年齢保育」があります。文字通り、異なる年齢の子ども達が混合した状態での保育のことです。「縦割り保育」とも呼ばれます。保育施設には0歳の乳児から小学校に就学する前の幼児までが通っています。この乳幼児を年齢別のクラスに分けるのが「同年齢保育(横割り保育)」であり、こちらのほうが一般的、と認識されているかと思います。さまざまな年齢の子どもが一緒に過ごす環境には、どのような特徴があるのでしょうか。保育士など、保育者側のメリットや気を配るべき点も気になりますよね。保護者も保育者も知っておきたい異年齢保育のこと、そして同年齢保育との比較について解説します。

■異年齢保育は時流に合った方法

近年、以前は同年齢保育を実施していた園が異年齢保育に移行、というケースが増えています。異年齢保育が時流に合った望ましい形である、という判断のうえです。その背景には少子化などの社会の変化があります。子どもの数が減少し、きょうだいの多い子どもは少なくなっています。以前なら、きょうだいの関係、コミュニケーションで学んできたことを、子ども達が身に付ける機会が減っているとして、その機会を異年齢保育に求める、というわけです。きょうだいだけでなく、地域社会での、さまざまな年齢での友達同士(例えば「幼馴染」のような)の関わりも減っています。異年齢保育の現場が、きょうだいのいる家庭やご近所の遊び場のような役割になる、というわけです。また、現実的な理由での移行例もあります。子どもの数が少なく、同年齢でバランスよくクラスを分けられないから、という理由や、待機児童を臨機応変に受け入れるために異年齢のクラスを編成している、というケースもあります。

■異年齢保育のメリットとは

異年齢保育においては、子ども達が多様な人間関係を築くことができる、ということがメリットです。人と関わること、というのは、子どもが成長していく過程で身に付けなくてはならない力です。その多様性を小さいうちから経験する、という経験がプラスになります。将来、大人になって暮らしていく社会では、さまざまな年齢の人と関わることになります。「社会」の経験を乳幼児のうちにしておく、という意味にもなります。年長の子ども達にとっては、思いやりの心を育む機会になります。自分よりも年下で、自分よりも何かを「できない」子達、そして、自分よりも「弱い」子達に対して、やさしくしてあげよう、手伝ってあげよう、教えてあげようという気持ちが自然に生まれ、その結果「自分はやってあげることができた」という自信を持つことにもつながります。年少の子ども達にとっては、お世話をしてくれる「おにいちゃん」「おねえちゃん」に憧れの気持ちを持ったり真似してみたいと感じたりすることが学びになり、目標になります。お互いの姿を見て「いろいろな子がいるんだ」ということを知り、学びます。年長の子から年少の子に遊びや学習が伝わってつながっていくこともあります。また、年長の子の気配りによって、年少の子の危険やけんかを避けることができ、安全性が高まります。さまざまな子がいて、お互いの意欲を高め、みんなが成長することができる、というのが異年齢保育の良い形です。

 ■異年齢保育、実際にはどうなの?

異年齢保育はメリットばかりなのか、というと、実際には問題となることがないわけではありません。同年齢保育のほうが良いのでは、という声がある部分もあります。例えば、その年齢、例えば3歳児なら「3歳児クラス」での保育であれば、3歳児の発達ということにきめ細かく配慮することが可能です。その年齢に合う遊びや学びが行き届いた環境、という意味では同年齢のほうが好ましいという声もあるのです。絵本の読み聞かせやお絵かき、といったことでも、年齢による内容の差はありますので、自分と合わないレベルの内容でも一緒にやる、となると子どもに戸惑いがあるかもしれません。年少のレベルだと年長が退屈、年長のレベルだと年少がわからない、となります。また、年長の子達の立場が強いため、道具や遊びを独占してしまうという困った例も現実にあります。年下の子にやさしくできない子もいます。このように問題のあるケースでは、保育者が注意して見守り、適切に子どもを導いてあげる必要があります。

■同年齢保育と異年齢保育の取り入れ方

 

縦割り保育

 

同年齢保育では、子ども達の発達の度合いが近く、似たような状況にある子達と競い合ったり助け合ったりと、ほかの場所ではできない体験が可能です。同年齢ならではの絆、横のつながりも子どもにとって大切な人間関係です。また、保護者も「同じ年齢の子がいる保護者同士」のつながりが嬉しい、という声もあります。同年齢保育にも異年齢保育にも、それぞれメリットがあり、子どもにとってプラスの環境となり得ます。保育施設によって取り入れ方もさまざまで、基本的にどちらかの方式で、時間や曜日によってクラス編成を変える、というところも多いようです。普段、子ども達が遊ぶ時間は異年齢保育で人間関係を築く機会にし、体育や創作の時間は同年齢保育でレベルを合わせる、といった取り組みをする園もあります。

■モンテッソーリ教育と異年齢保育

子どもの自立を目指し、独自の教具やカリキュラムを取り入れる「モンテッソーリ教育」では、異年齢保育が行われます。モンテッソーリ教育の成果としてよくあげられるのが自発的に物事に取り組み、集中力のある子どもを育てるということです。異年齢保育には自由さや集中できる環境を作り出せる背景があり、モンテッソーリ教育の実践に適しているということなのだと思います。モンテッソーリ教育や異年齢保育に興味のある保護者の方は、そういったポイントも考慮し、子どもに合うかどうかの判断材料にできるのではないでしょうか。

■異年齢保育での保育者の姿勢と配慮

異年齢保育の現場では、年長の子が年少の子をお世話してあげる姿が見られます。きょうだいのような関係であったり、憧れる、憧れられる関係だったりと、家庭や地域では築けないものが実現します。複雑な関係の中で、人との違いを受け入れたり、自分の立場や役割を自覚したりという人間的な成長が見られます。そこで保育者が配慮しなくてはならないのが、年長の子に負担を強いていないか、年少の子が年長の子の悪い部分を真似していないか、といった点です。配慮が不足していると、年齢が異なる子達に、お互いに不満が生じるなどして関係が悪化するおそれもあります。また、年齢に幅があっても対応できる遊びなどを用意することも必要です。いずれにしても、しっかりと子ども達を見守り、トラブルには即、対応する姿勢が重要です。

 ■異年齢保育の場で期待される子どもの人間的成長

年齢とともに、発達にも差がある異年齢保育の現場では、保育者が見守る中、良い形の人間関係が築かれていれば、子ども達はお互いを認め合い、受け入れ合うようになります。同年齢の子ども達の中でうまくほかの子と接することができない子でも、年長、年少の子と関わり合ううちに関係を築く力がついてきた、というケースもあります。また、何かと差があることで、子どもなりに悩みが生じても、それを受け入れ、乗り越えることで成長することもあります。小さな社会で人間力をつける、ということが期待されるのが異年齢保育の現場なのです。

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