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「娘を着替えさせないで」男性保育士の苦悩と実態とは

男性保育士 悩み
最近、男性保育士の問題が頻繁に取り上げられています。その問題は、実際には解決方法はあるのでしょうか。

2017年1月、千葉県の千葉市長を務める熊谷俊人氏が自身のTwitterで、市が「千葉市立保育所男性保育士活躍推進プラン」を策定したことを発表しました。これは、男性保育士が圧倒的に少ない保育現場で、男性保育士の登用を推進していくことで、より質の高い保育の実現を目指していくというもの。熊谷市長の発言をきっかけに、インターネットではさまざまな議論が巻き起こりました。男性保育士が直面している苦悩と、その実態にスポットを当てて考えていきましょう。

 割合は増えているものの…まだまだ少ない男性保育士

かつては「保母さん」と呼ばれることが多かった保育士という職業。保育士という呼称がメジャーとなった現在では、男女の垣根なく就業できるようになってこそいるものの、まだまだ保育の現場には男性保育士が少ないのが現状です。

総務省が行った国勢調査の推計によると、平成12年の保育士の就業者数は36万1488人。そのうち男性保育士は4666人で、全体の1.3パーセントにすぎませんでした。それから十年後の平成22年には、保育士全体の就業者数は47万4900人。そのうち男性保育士が1万3160人、割合も2.8パーセントまで伸びており、少しずつではあるものの、保育の現場で活躍する男性は増加の傾向にあります。

 男性だからこそ活躍できる場面も

 

男性保育士 メリット

 

まだまだ「女性が活躍する職業」というイメージが強い保育士ですが、保育の現場では男性保育士が重宝されることが実は少なくありません。
たとえば、園外保育で公衆トイレを利用せざるを得ないとき。公園などのトイレはあくまでも公共の場ですので、一般の男性も利用しますから、女性保育士が男児に付き添って介助するわけにはいかないものです。そんなとき、男性保育士がいれば、男児に付き添って男子トイレを利用することができますから、必要に応じて役割分担をすることが可能です。
それから、女性だけの職場よりも、男性が常駐している職場のほうが防犯面に長けるという意見もあります。

近年では、積極的に男性保育士を雇用している園も増えており、保育の現場からのニーズは高まっているといえるでしょう。

 保護者から見た「男性保育士」の存在

では、男性保育士は園児たちの保護者からどのような印象を受けているのでしょうか。保護者の声を聞いてみると「女性とはまた違う遊び方を提案してくれるので、子どもたちが喜ぶ」「力仕事が得意な男性保育士さんがいて、行事準備などで活躍しているのを見ると必要だと思う」という声が多くあがります。

また、園児のパパからは「女性と子どもばかりの環境にお迎えに行くのに気まずさを感じることがある。男性保育士がいるとほっとする」という声も。もちろん、評判には個人差があるものの、多くの保護者は男性保育士に好意的な印象を持っているようです。

 「女児のおむつを替えないでほしい」という声も…

一方で、一部の保護者からは「男性保育士が女児のおむつ替えやトイレへの付き添いをすることに抵抗がある」という声もあがります。筆者がインターネットで、女の子をもつ両親に対し「保育園もしくは幼稚園に通う我が子のおむつ替えやトイレへの付き添いを、男性保育士(教員)が行うことに抵抗を感じますか」と独自にアンケートをとってみたところ、およそ23パーセントの保護者が、何らかの抵抗を感じているという実情が浮き彫りになりました。

男性保育士によるわいせつ事件が与えた衝撃

2015年6月、宮崎県で当時31歳だった男性保育士が、強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで再逮捕されたという事件がありました。同年5月にインターネット上に児童ポルノをアップロードしたことで逮捕されていた犯人でしたが、2014年8月に勤務先の保育施設で女児の下半身を触り、その様子を撮影したという理由での再逮捕でした。
子どもたちを守るべき保育士による、絶対に起こってはならない性犯罪。保育士を信頼して我が子を預けていた保護者たちにとっては、あまりに衝撃的な事件となりました。残念ながら、女児を狙ったこのようなわいせつ事件は、数こそ少ないものの実際に起こっているのが実状です。

事件を受けて、女児をもつ保護者たちからは「男性保育士は信用できない」「さわやかな保育士であっても、見た目では判断できないから難しい」「男性保育士のいる保育園には入園させたくない」という声が少なからずあがったのも事実です。もちろん男性保育士の多くは、女児を性愛の対象とするために保育の道を志しているわけではありません。純粋に子どもが好きで、保育の道を選び、真摯に向き合っているのですから、このような事件をきっかけに男性保育士バッシングが起こってしまうことは、かなしい偏見といえるでしょう。ですが、このような事件が起こっていることで、男性保育士に対する不信感を抱いてしまう保護者がいるのも、残念ながら事実です。

インターネットでは「男性保育士に女児のおむつを替えさせないでほしい」という声に対して、反論する声もあがっています。たとえば小児科に我が子を診てもらうとき。「男性医師に診てもらうことに抵抗がある」と感じる保護者は少ないのではないでしょうか。また、普段は女性の小児科医がいる病院をかかりつけにしていたとしても、集団健診や救急時にはそうはいかないものです。そんなとき「女性医師でないと…」というでしょうか。
もちろん、わが子が性犯罪に巻き込まれるリスクを少しでも軽減させたい保護者の気持ちは痛いほどにわかります。とはいえ、深刻な保育士不足を抱える保育業界。男性にも雇用の幅を広げていくことは、もはや不可欠です。

 収入面に対する不安から離職する男性保育士も

男性保育士が増えていきにくい大きな理由のひとつに、給与面の不遇さがあげられます。
東京都福祉保健局が行った「東京都保育士実態調査」によると、平成26年3月現在、保育士として就業している人の6割弱が正規職員です。そのうち男性は、年齢を問わず8割以上が正規職員として就業しており、結婚後パートで再雇用される女性保育士が多い一方で、男性保育士の場合は正規職員として勤めている人が多いのがうかがえます。とはいえ、現在の保育士の平均年収は212.4万円。正規職員であっても269.2万円と、一般的な職業と比較すると、決して給与面で恵まれているとはいえません。東京都に勤める人の平均年収は20歳でも271.5万円程度、40代にもなると600万円台にもなりますので、比較するとその差は歴然といえるでしょう。
他の職種と比較して、給与の伸び幅も大きいとはいいがたい保育士。「結婚して、家庭を築きたいから…」といった理由で保育の現場を離れていく男性保育士は、とても多いのが実状です。

千葉市の熊谷市長の発言にもあるとおり、保育士不足が叫ばれている現代の保育現場に、男性保育士の活躍は欠かせません。ですが、男性保育士の活躍を望むのであれば、保護者の信頼を強固にするとともに、今後よりいっそう、待遇面の改善が求められていくのではないでしょうか。

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