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子どもたちのSOSを見逃さない!「子どもの人権オンブズパーソン」とは|保育士求人募集なら保育ぷらす
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子どもたちのSOSを見逃さない!「子どもの人権オンブズパーソン」とは
目次
下の数字は子供たちのある問題を表している数字です。何を表しているか、あなたは分かりますか?
1位:千葉県 2万9,665
2位:京都府 2万5,279
3位:宮城県 1万7,708
4位:愛知県 1万2,921
5位:大阪府 1万363
6位:神奈川県 8,365
7位:茨城県 7,094
8位:兵庫県 6,895
9位:東京都 6,793
10位:北海道 6,198
こちらは2016年10月に発表された、「いじめの認知件数の都道府県ランキング上位10位」です。ニュースとして報道されているいじめの問題は、氷山の一角にすぎないことがよくわかりますね。ましてやこれは、発覚して報告された件数でしかないので、実際にはもっと多くの数があるとみていいでしょう。
今回は子供の権利を尊重し、いじめ・体罰・虐待で苦しむ子供たちを救う「子どもの人権オンブズパーソン」の取り組みです。
オンブズパーソンとは
オンブズパーソンとは、国民に代わって行政活動を監視し、また国民からの行政機関に対する苦情を処理する役職で、社会科の授業で学んだ記憶がある方も多いかと思います。
「生きているのがつらい」と感じている子どもたちを助けるために設立された
1990年代、全国的に学校でのいじめが大きく取り上げられるようになったとき、川西市は小・中学校に通う子どもたちにアンケート調査実施しました。
その結果、クラスで1~2人の子は「生きているのがつらい」と感じるほどのいじめを受けたことがあると判明しました。
川西市では、「生きているのがつらい」と感じている子どもを助けたい!と考え、1998年12月に、市の条例で「子どもの人権オンブズパーソン」をつくりました。これは日本国内ではじめての取り組みでした。
大人は日々の生活の中で、仕事や人間関係のストレスに揉まれて余裕がないと、不安や苛立ちを感じ、子どもの気持ちに向き合って話を聞いてあげている“つもり”になっていることが多くあります。
実際に、いじめや体罰、虐待などで悩んでいる子供達の多くは、大人に話を聴いてもらえていないと感じています。
また、子どもたちは両親や学校の先生に対しては、身近な存在だからこそ「心配をかけたくない、詮索されたくないから、本当のことを言えない」という繊細な子もたくさんいます。
川西市の「子どもの人権オンブズパーソン事務局」
兵庫県川西市の子どもの人権オンブズパーソンは、日本で最初に条例により設置された「子どもの人権擁護・救済のための公的第三者機関」です。
平成11年から、いじめや体罰、虐待など、様々な問題で苦しむ子どもたちの小さなSOSを少しでも早く発見し、受けとめ、話を聞き、その子自身が人権を尊重された状態で、前向きに問題解決に取り組めるよう支援を始めました。
親でも先生でもない独立した立場が「オンブズパーソン」
オンブズパーソンは「子どもの話を親身になって聴くこと」を最も大切にしています。
それこそが「子どもの意見表明権」の保障を通じて「子どもの最善の利益」を確保するという「子どもの権利条約」の理念の具体化へ向けた第一歩とされています。
なります。
その子が望む形で大人の協力を仰ぎながら一緒に解決方法を見出す
辛い気持ちや悲しい気持ち、悩んでいて助けてほしい気持ちを誰かに打ち明けたいけど、誰に言えばいいかわからない、そんなときにこそオンブズパーソンは寄り添います。
子どもの話をじっくり聞いて、どうすればその子にとって一番いい形で問題が解決できるかを一緒に考えます。もちろん秘密は厳守。
必要なときは、家族や学校の先生にもオンブズパーソンから協力を仰ぎ、子どもの気持ちを伝えて、話し合うことができます。
自分の気持ちを伝えやすい方法をチョイス!選べる4つの相談方法
オンブズパーソンに相談したいときは、
1.電話する:《フリーダイヤル》 0120-197-505(無料)
2.会って話す:市役所の3階「子どもの人権オンブズパーソン事務局」に来てください。
3.手紙をかく:「〒666-8501 オンブズパーソンあて」で届きます。
4.ファクスを送る:《ファクス番号》 072-740-1233
の4つから、自分の気持ちを伝えやすい方法を選べます。
初めて会った大人と話すのが緊張するという場合は手紙や電話でもOK!
深く考えすぎずに連絡してみましょう。
話しやすいフレンドリーなオンブズメンバー!はこんな人たち
川西市のホームページにはの3人の「オンブズパーソン」が掲載されており、子どもの問題にくわしい専門家です。
男性、女性のオンブズパーソンがいて、写真とニックネームも書いてあるので、子どもにとっては打ち解けやすい雰囲気作りがされています。
「子どもの人権オンブズパーソン」の今後の展望
制度が始まってから、川西市は「子どもの権利条約」の理念を具体化すべく地道に活動に取り組んできました。その結果、子どもの様子を意識して見るようになる大人が増え、子どもが相談しやすい雰囲気つくりが自治体単位ででき始めているそうです。
しかし、大人の生活実態や労働環境が厳しさを増す中で、子どもたちを取り巻く人間関係は不安と緊張に満ちたものとなり、追いつめられていく子どもたちの数はなかなか減りません。今後は、いじめや体罰、虐待などで苦しむ子を一人でも減らすためにより多くの学校や教育施設にアプローチしていってくれることを期待したいですね。
まとめ
今回は「子どもの人権オンブズパーソン」についてお話してきましたがいかがでしたか?
子どもたちは、自分の気持ちを表現するのが苦手な子も多いものです。
思いつめていたり、死にたいと思っている、そんなときにオンブズパーソンのような独立した立場の大人が、ニックネームで名前を呼びあいながら友達感覚の延長で相談にのってくれるのは子供にとって涙が出るほど嬉しいかったり、ほっと安心できるものです。
今後は他の自治体にもこの取り組みが広がり、子供たちがのびのびと安心して生活できる環境づくりが進められていくことに期待したいですね。