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うちの子が、どうして…。保育園死亡事故はなぜ起こる?

保育園 うつ伏せ死
最近、問題のうつぶせ死。自分の子供が心配な人も多いですよね。この問題は、どうしてうまれたのでしょか。

 

14件。これは、2015年に保育施設から報告された保育現場での死亡事故の件数です。保育の仕事をしていると、どうしても目についてしまう「保育園で起こった死亡事故」に関するニュース。「なぜ防げなかったのだろう」と考えるのと同時に、「いつか自分も当事者になってしまうのでは」とよぎることもあるかと思います。保育業界で働くからには、けっして他人事ではない保育現場での死亡事故、いったいなぜ起こってしまうのでしょうか。

 保育園の死亡事故件数は「横ばい」で推移

2015年、保育施設で起こった死亡事故の件数は全体で14件。一見すると「年間に14人もの子どもたちが保育施設で命を落としている」かのように見えてしまいますが、実はこの数字は、この10年ほぼ横ばいに推移しています。2005年から2015年までの10年間のデータを見ると、一年間の事故件数は14~19件の間で推移しているため、けっして「保育の質が下がっているから死亡事故が増えた」わけではありません。

 

一方で、保育施設を利用する人は増えているため、事故件数と保育を受ける子どもたちの数の比率で考えれば、むしろ「保育施設での死亡事故発生率」は低下しているとも考えられます。
そもそも「大切な子どもを預かる保育施設で、死亡事故は起こってはならないことなのでは」と考える人もいるでしょう。確かに、保護者の方々は保育施設を信頼して預けてくださっているわけですから、保育現場での死亡事故は起こってはならないことです。とはいえ、家庭で起こる、乳幼児の死亡事故の件数と比較しても、保育園での事故件数が突出して多いわけではないのです。乳幼児の死亡事故には、やむ負えないものがあります。どれだけ気を付けていても、防げない事故はあるものです。「保育園だから死亡事故が起こった」といったイメージを抱いているのなら、それは誤解といえます。

 保育園死亡事故の多くは午睡中に発生

では、保育園での死亡事故はいったいなぜ起こるのでしょうか。保育園での死亡事故の多くは、午睡などの睡眠中に起こっています。そしてそのうちの約半数程度が「うつぶせ寝」をしていたといわれています。

乳幼児突然死症候群(SIDS)をいう言葉、保育現場にいる方であればかならず耳にしたことがある言葉だと思います。乳幼児突然死症候群とは、それまで元気に過ごしていた赤ちゃんが、睡眠中に突然息を引き取ってしまう病気です。

ついさっきまで元気だった子どもが、突然呼吸を止めてしまうというもので、特に二歳までの子どもに多く見られ、いまだにはっきりとした原因はわかっていません。乳幼児突然死症候群は男児や早産時、低出生体重児に起こりやすく、季節は冬季、時間帯では早朝から午前中にかけて起こりやすいことが分かっています。

 乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防するには

 

保育士 うつ伏せ死

 

乳幼児突然死症候群が起こる原因は、まだはっきりとわかっていません。とはいえ、リスクを減らすことはできると考えられています。どういった対策方法があるのでしょうか。

 

 

  • 「うつぶせ寝」をさせない
    「うつぶせ寝をさせないこと」。うつぶせ寝とは、おなかを下にして眠っている状態のことで、たとえ顔が横を向いていたとしても「うつぶせ寝」に当てはまります。午睡のときは、うつぶせ寝の状態にならないよう配慮し、5分から10分に一度程度、子どもたちの呼吸を確認します。

 

  • 柔らかすぎる寝具は使用しない
    子どもたちが使用する寝具は、体をしっかりと支えられる硬さのあるものを使用します。体が沈み込んでしまうような柔らかいもの、特にふんわりとしたまくらなどが近くにあると、窒息の原因になることがあります。また、毛布なども顔にかかっていないかこまめに確認をすることが大切です。
    枕や寝具のほか、ケーブルやひも、ぬいぐるみなども危険につながるため、赤ちゃんが眠るスペースは余計なものを置かず、すっきりと片付けておきましょう。

 

  • 温めすぎないよう注意する
    それから、就寝時に厚着になっていないかどうかも要確認。赤ちゃんはまだ体温調整がうまくありませんから、厚着をして体温があがってしまうと危険です。午睡時は室温の調整に配慮し、必要以上の厚着をさせないよう気を配ります。

 

  • おくるみは使用しない
    胎内にいたときのように体をぎゅっと包むことで、赤ちゃんが眠りやすくする「おくるみ」。保育現場で使われることはそう多くありませんが、保護者のなかには、寝かしつけのアイテムとしておくるみを使う人がいます。寝かしつけに効果があるといわれているおくるみですが、おくるみのまま布団に寝かせてしまうのは、乳幼児突然死症候群予防の観点で見ると危険です。
    寝がえりがしにくいおくるみですが、なにかの拍子に寝がえりをしてしまうと、おくるみが妨げになって元に戻ることができず、それが窒息状態を招いてしまうひとつの原因になるのではないかと考えられています。

 

  • その他
    上記にあげた四つの原因のほか、同じベッド(布団)で眠るのも死亡事故のリスクをアップさせるといわれています。たとえば、大人が寝がえりをうったことで、赤ちゃんの呼吸をふさいでしまう、赤ちゃんの顔に寝具をかけてしまう……。保育の現場ではあまり関係のないシチュエーションではありますが、「同じ部屋で眠っていても子どもと寝具は分けるべき」というのは、意外と知られていないことかもしれません。家庭へ向けて指導をいれることも大切です。

ずさんな保育体制が事故につながったものも

保育園に預けたから起こってしまった事故が増えたわけではない、と前述しましたが、残念なことに、死亡事故のなかにはずさんな保育体制が招いてしまった悲劇もあります。2015年、認可外保育施設「蒲田子供の家」で起こった保育事故では、わずか生後6カ月の女児が命を落としました。施設は当時、保育士資格を持つ人が配置されていないという状況であったほか、女児は「暖房のきいた部屋で、登園から着ていたダウン姿のまま寝かされていた」というあまりにもずさんな状況で保育をされていたことがわかっています。

深刻な保育士不足が劣悪な保育環境を招く?

「蒲田子供の家」では、保育士が適切に配置されていなかったことに対して、施設の経営者が「保育資格所持者が集まらなかった」と答えています。もちろん、保育資格所持者がいない状況で保育施設を運営することはルール違反です。施設は無認可施設ではありましたが、無認可施設にも運営するのにルールがあります。たとえば、保育士を配置しなければならない人数および資格については、次のように定められています。

保育に従事する者(常勤職員)の数は

・乳児おおむね3人につき1人以上

・満1歳以上満3歳に満たない幼児おおむね6人につき1人以上

・満3歳以上満4歳に満たない幼児おおむね20人につき1人以上

・満4歳以上の幼児おおむね30人につき1人以上であること。ただし、常時2人以上であること。

・保育に従事する者のおおむね3分の1(保育に従事する者が2人の施設にあっては、1人)以上は、保育士又は看護師(助産師及び保健師を含む。)の資格を有するものであること。

 

ただし、最低基準を満たす人数では回していけないのが実情です。保育士が欠勤した場合や退職した場合、代理となる保育士がたてられるまで適正に運営できなくなる恐れがあるからです。
特に乳児が多い小規模保育室の場合、保育人数はそれなりに必要になってきます。乳幼児の死亡事故を防ぎ、安全で安心できる保育を適正に提供していくためにも、保育士不足の解消が不可欠です。

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